持込成功の秘訣
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第1回 翻訳家になりたいという学生時代の夢に再チャレンジ!
熱意と行動力で持ち込みを成功させた金井真弓さん
Mayumi Kanai
金井さんが翻訳家を目指し始めたのは30代も半ばになってから。

「カルチャーセンターの翻訳講座に通い始めました。小学生の頃から本が好きで、中学で英語を学び始めたらそれも面白く、将来は両方を生かせる仕事につきたいなと思っていました。でも、現実はそんなに甘くないですよね」

大学は英文科に進み、ゼミでは翻訳の勉強もした。しかし、翻訳家になるなんて夢のまた夢だと思っていた。普通に就職をして、何度か転職も経験したが、すべて翻訳とは関係のない仕事。というより、英語ともまったく関係のない仕事だった。

「読書は趣味として楽しんでいました。好きなジャンルはコージーミステリ。家庭的なタッチの軽めのミステリです。読むうちにその面白さにはまり、そのうち原書でも読むようになったんです」

社会人として安定した生活を手に入れ、空いた時間で楽しんでいた読書から、昔の夢がまたむくむくと首をもたげてきた。原書を読むうちに、自分の好きな作品を自分で訳すことができたら、そう思うようになったのだ。

「でも、どうすれば翻訳家になれるかなんて、まったくわかりません。そこで、とりあえずカルチャースクールの翻訳講座に通うことにしたんです」

それが今から8年ほど前のこと。今では翻訳するときに当たり前のパソコンも持っていなかった。辞書は学生時代に使っていた学習用の中辞典。課題を訳すのにそれでは不十分だと、図書館に通い大辞典に当たるようになった。まったくゼロからのスタート。初めてプロの翻訳家の先生から手ほどきを受け、本当に少しずつ、一歩一歩、翻訳の仕方を覚えていったのだ。

カルチャースクールは、趣味の延長というのんびりとした雰囲気だった。とはいえ、長年勉強を続けているかなりの実力者がいたのも事実だ。そして、ミステリ翻訳家でもある講師の先生は、常々「面白い原書を見つけたら持っていらっしゃい。出版社に持ち込んであげます」と言っていた。

「私は、これはチャンスだとばかりに、先生にお願いして出版社に何冊か持ち込みをしてもらいました。翻訳関係の雑誌などを読みレジュメの書き方を調べて、見よう見まねで書いて渡したりしていましたね。結局、1作も採用にはなりませんでしたが、その後、そのタイトルが他の出版社から出されていたりして、私の見立てが悪かったわけじゃないんだな、とホッとしたことを覚えています」
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