持込成功の秘訣
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第1回 悩める子どもたちに本を読んでほしい
隠れた名作を発掘して送り出す編集者の鷲見えりさん
Eri Sumi

今月は求龍堂の編集部に鷲見えりさんを訪ねた。
持ち込まれた企画を検討する編集者という立場から、本作りにかける思いを語っていただいた。

鷲見さんが求龍堂に入ったのは今から3年前のこと。新卒の新入社員として営業部に配属された。
就職先として出版社を選んだのは、営業として本を広める仕事がしたかったからだという。

「子どもの頃から本を読むのが好きで、何か悩みにぶちあたると、本を読み、本の中でさまざまな世界を体験して、成長してきました」

学生時代に子どもたちをキャンプに連れて行くボランティアのリーダーしていた鷲見さんは、子どもたちから悩みの相談を受けたときに、こう考えた。

「自分の子ども時代を思い出し、今の子たちにも本を読んでもらいたい、知ってもらいたいと思いました。今の子どもは本を読まないとよく言われますが、意識して読まないんじゃなくて、本と接する機会があまりないから、どんな本を読めばいいかわからないんですよね。だったら、そういう子たちでも読みやすく、手に取りやすく、こんな本なら買いたいなって思える本を広める仕事がしたいと思ったんです」

その思いを抱いて営業部での仕事がスタートした。

「希望の仕事でしたし、とても楽しかったです。学生時代に書店でアルバイトしていた頃にもよくポップを書いていたんですが、営業になってからもたくさんポップを書いて書店に持っていき、飾ってもらえるようにお願いしました」

『恋をしたことがある人は ぜひ読んでください』

ある本にこんなポップを付けた。これを見たら、買いたいと思ってもらえるかもしれない。
本屋に行っても漫画しか買わない子が、漫画じゃなくてたまには本を買ってみようかなと思ってくれるような仕事がしたかった。

“ポップを飾ったら本が売れました”と言われたときは嬉しかった。どうすれば本を知ってもらえるか、営業の仕事を通して少しずつ分かってきた。
そして、入社から1年半が過ぎた頃、編集部への異動を命じられた。

「営業の仕事を自分なりに頑張っているうちに、『こういうコーナーに置いてもらえるのなら、装丁はこうできたらいいのにな、帯にはこんなことを書いたらいいのにな』と思い始めていた頃でした。編集者になればそれが自分でできる。ちょうどいいタイミングで新しい仕事に移っていけたと思います」