持込成功の秘訣
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第1回 フランスの偉大な作家、ヴィクトル・ユゴーとの出合い
9歳の頃に描いた夢を実現させた清水彩さん
Aya Shimizu

『レ・ミゼラブル』の作者として有名なフランス人小説家・詩人のヴィクトル・ユゴーが、晩年に子ども向けの詩を発表していたことをご存じだろうか。ここにある邦訳書『大地は美しいドレスを身につける…』がそれである。ユゴー生誕200年にあたる2002年に梨の木舎より出版された。

日本でも非常に有名な作家でありながら、その著書の中に最近まで翻訳されていないものがあったとは意外である。

この絵本の原書“La terre met sa belle robe...”を見つけたのは、当時上智大学フランス文学科4年で、フランスに留学中だった清水彩さんだ。小学生の頃に初めてユゴーの作品に出逢い、フランス語を学ぶことを心に決め、いつかは翻訳者にと夢見ていた少女である。
その思いを見事実現させてしまったわけだが、そこには強い熱意とそれが導いた幸運があった。

清水さんとユゴーとの出逢いは1985年、清水さんが小学3年生のころに遡る。祖父にプレゼントされた子ども向けの書籍『ああ無情』。これを読んだとき、子どもながらに世界が変わるほどの感動を覚えたというのだ。

「枝葉末節とも思える一見関係ないと支流のようないくつものお話が、最後に大きな幹につながっていくストーリー展開にも感動しましたし、それまで読んでいた子ども向けの本にはないようなヒューマニズム、あらゆる愛、革命にかける青年の思い、ジャン・バルジャンの凄まじい生き方、これらすべてに感動して、子ども心に“これは生涯の出逢いだ”と思いました」

それから2年後の1987年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』が日本で初上演される。母に連れられて観に行った清水さんは、帝国劇場のロビーで、ショーケースに飾られていたその原書と対面した。

「大人の波にのみ込まれながら、低い視点からその原書を眺めました。全く何が書いているのかわからないわけですが、それだけに、“自分がやりたいことはこれだ。この言葉を読めるようになり、この世界をもっと深く理解できるようになりたい”と思いました」