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  情報コラム
アンゼたかし映像翻訳トーク!トーク!トーク!

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メジャー系映画への華麗なる転身秘話とは?

アンゼ: 海上自衛隊のための字幕の仕事はその後も続けたんですか?

菊地: それがさ、30歳を過ぎたころ、ちょっとクビになっちゃって(笑)。

アンゼ: ええっ? クビですか……せっかくいい仕事だったのに、残念ですね。詳細は訊かないことにしますけど(笑)。その後はどうなったんですか?

菊地: 仕事がなくなって困っちゃって、字幕の仕事がどこにあるか訊いてまわったら、「東北新社」っていう会社があるって聞いて、飛び込みで行ったんだよ。

アンゼ: これまた、菊地さんらしいすごい行動力ですね。

菊地: まだ30歳だったから。いきなり訪ねていって、「ぼく、翻訳者なんですけど、翻訳の仕事ありませんか?」ってね。

アンゼ: すごい(笑)。それで、仕事はもらえたんですか?

菊地: それが、しばらくしたら、仕事があるって連絡が来たんだよ。でも行ってみたら、なんとスーパーマーケットのマニュアルの翻訳! いちおう、やったけどさ(笑)。

アンゼ: えーっ! あの「東北新社」ですよね? 映像以外の仕事も扱っていたとは……それで、マニュアルの翻訳を経て(笑)、映像の仕事に繋がったわけですか?

菊地: そう。スーパーのマニュアルの次に来たのが、テレビの字幕の仕事。たしか、最初にやったのは、『ウッドストック』だったかな。

アンゼ: おお〜! あの、伝説のロックフェスのドキュメンタリー映画ですよね。いきなりいい仕事じゃないですか!

菊地: そうだね。いま考えると運がよかったよね。そのあとも「ドクター・ラファティ」っていう医療モノのテレビシリーズとか、わりあい仕事が続いたんだ。そのあと他社でアメリカのバラエティショーとか音楽番組とかもやったんだけど、そのときディレクターだった人が、原稿を毎回細かく見てくれたのは勉強になったよ。

アンゼ: テレビで流す映画やドラマも、16ミリフィルムに字幕を付けるんですか?

菊地: そう。当時は「東北新社」と言えども、まだビデオの技術はなかったから。だから、16ミリフィルムに字幕を打ち込んで、テレビで流してた。

アンゼ: 映画喫茶、海上自衛隊、テレビとずっと16ミリフィルムの字幕をやってきたわけですよね。その後も16ミリが続いたんですか?

菊地: そうだね。実はポルノの劇場公開作品をちょっと訳したことはあるんだけど、やっぱり専門は16ミリだった。当時、CICっていう大きな配給会社があって、ちょうど16ミリ映画を貸し出す子会社ができて、そこでもまた名作をたくさん訳したよ。

アンゼ: 自衛隊のときと同じように、また名作の翻訳に出会ったんですね。

菊地: そう。ビリー・ワイルダーの映画とかも、たしかこのときに出会ったんじゃないかな。それに、海上自衛隊のときとはちがって、今度はまわりにいるスタッフもメジャー映画をやっている人たちばかりだから、いろいろと教えてくれて本当に勉強になったよ。

アンゼ: 当時はいい出会いが多かったみたいですね。

菊地: その当時は、みんなで一緒にいいものを作っていこうっていう雰囲気だった。まわりも先輩方ばっかりだったから、人を育ててくれるっていう感じだったね。そのころ、すでに劇場デビューし始めていた戸田(奈津子)さんにも出会ったんだ。

アンゼ: へえ、戸田さんとの出会いはそのころだったんですね。言うまでもなく、戸田さんは劇場公開映画の字幕で今でも大活躍ですが、菊地さんも戸田さんに次ぐキャリアをお持ちですよね。これまで伺ったお話ですと、ポルノ以外は16ミリ映画を訳されてきたということですが、そこからどのような経緯で35ミリの劇場映画の世界に入ることになったんですか?

菊地: 16ミリの翻訳をずっと担当してくれていたCICの人から、劇場公開の35ミリもやってみないかって声をかけられて……うれしかったなあ。まだ30代だからね。

アンゼ: その作品はなんだったんですか?

菊地: 「ピンク・パンサー」シリーズの――

アンゼ: すごい!

菊地: いやいや、『ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ』っていうシリーズ7作目でね、ピーター・セラーズが死んだあとに作られたやつ。ぜんぜんヒットしなかった(笑)。

アンゼ: シリーズ系によくあるパターンですね(笑)。この『ピンク・パンサー』以降は、劇場公開作品が続いたんですか?

菊地: まあ、わりと仕事はもらえたかな。もちろん、まだ大先生がたくさんいたから、大作はできないけど。でも、「あまりヒットしないだろうな」という作品はたくさんやらせてもらった(笑)。

アンゼ: 名作での修練とそういった下積みを重ねて、メジャー作品を担当するようになったわけですね?

菊地: そう、徐々にね。まず「13日の金曜日」シリーズの3作目以降を担当させてもらった。あと、『ジョーズ』の続編だとか、大作の続編が初めは多かったかな。それから、だんだんメジャーな作品もやらせてもらえるようになった。

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