出版翻訳と実務翻訳でご活躍のフリーランス翻訳家、依田光江さん Flavor
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Flavor of the Month
<第115回>  全5ページ
子供の頃から大の本好き 会社買収をきっかけにフリーランス翻訳者に

濱野 :実務・出版翻訳者としてフリーランサーになるまでの経緯についてお伺いします。まずは、翻訳に興味を持つまでの過程についてお聞きしたいと思います。このインタビューで多くの翻訳者さんにお話をお伺いしていると、英語好きと本好きに分かれるような気がするのですが、依田さんはいかがですか?

依田 :私は本好きのほうだと思います。昔から本ばかり読んでいて、活字を読んでいれば安心するような子供でした。子供にたくさんの本を与えるというのが両親の教育方針だったので、自然と本好きに育ったのだと思います。

濱野 :子供の頃から翻訳モノがお好きだったのでしょうか?

依田 :とくに「翻訳」「外国作品」ということを意識したことはなく、ただ物語がおもしろいからという理由で、和書のほかにも「シャーロック・ホームズ」「ルパン」「小公女セーラ」など、学校の図書室にあるものを読んでいました。

濱野 :実際に「翻訳」に触れたり、「翻訳者」を目指すようになったりしたのはいつ頃ですか?

依田 :大学卒業後に外資系コンピューター会社に就職して、システムエンジニアの仕事を始めたのですが、業務の一環としてマニュアルを社内向けに翻訳するというプロジェクトが始まり、その作業を担当したのが初めて「翻訳」に触れた瞬間だと思います。ただ、当時は仕事自体がとても充実しており、翻訳の仕事の有無にかかわらず、私としてはその会社でSEとしてずっと働く心積もりでした。もう死語かもしれませんが、「キャリアウーマン」になるはずだったんです。ところが、産休中に会社が買収され、なくなってしまいました。青天の霹靂でした。買収元に統合された会社に復帰するという選択肢もあったのですが、乳飲み子を抱えた身でまったくの新しい環境で働くことにむずかしさを感じて……。そのタイミングで、フリーになることを決めました。

濱野 :それまで社内で担当されていたマニュアル翻訳のスキルやSEの経験を活かして、実務翻訳のフリー翻訳者になろう、と。

依田 :はい。買収されたあと、昔の同僚の多くがさまざまな会社に転職していたのが、私にとってはプラスに働きました。新しい会社に移った元同僚の方々が、私のことを心配して翻訳の仕事をまわしてくださったんです。そのおかげで、フリーになった当初から順調に仕事をいただけるようになりました。

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