絵本の翻訳者としてご活躍の小寺敦子さん。 Flavor
読み物
Flavor of the Month
<第117回>  全5ページ
科学絵本を引き受け、冷や汗をかきながら翻訳

池守 :今年に入ってからは、子ども向けの科学絵本を3冊も訳されたそうですね。

小寺 :はい。持ちこみのときにお世話になったコーディネーターさんから、依頼をいただきました。最初に出たのが、この『動物園大脱走 機械のしくみがわかる本』(大日本絵画)という本です。これはしかけ絵本で、主人公は、動物園に住んでいるけど脱走したくてあれこれ知恵をしぼるハネジネズミのハネジくんと、ナマケモノのモノくん。動物園にあるがらくたを利用して色々な道具を作り、「てこの原理」や「歯車のしくみ」を使って何度も脱走を試みる、という設定になっています。身近にある機械の原理を、しかけ絵本の中で実際に動かしてみることができて、子どもが楽しみながら学べる絵本です。

池守 :すごい。かなり大がかりなしかけですね。

小寺 :ですよね。ただ、ページ数は少なくて30ページくらいなので、文系人間の私でもできるかな、と思ってお引き受けしたんですが、やってみたら大変でした。英語自体は平易なんですが、子ども向けでも内容は案外深くて……。私もこの本で学びなおすつもりで冷や汗をかきながら翻訳し、締め切り前には機械が専門の夫にも目を通してもらいました。

池守 :そのあとさらに2冊訳されたということですが。

小寺 :はい。次に刊行されたのが、『宇宙のことがわかる本』(大日本絵画)という絵本です。これもしかけ絵本なんですが、しかけをめくりながら、宇宙の成り立ち、恒星や太陽系の惑星のこと、生命を誕生させた地球のこと、人間による宇宙探査の歴史などを学べるようになっています。

池守 :そんな絵本を読んだら、宇宙好きの子どもが育ちそうですね。それで、もう1冊は、どんな本ですか?

小寺 :まだ刊行前なのですが、『びっくり動物TOP5』(大日本絵画)という、やはりこちらもしかけ絵本です。地球上で最大、最小の動物、最速、最強の動物、長命な動物、移動距離の長い動物など、動物の様々な驚きの生態を紹介する本で、動物の骨格が見えるしかけがついています。

池守 :動物好きの大人も楽しめそうな本ですね。それにしても、この2冊とも、調べ物が大変だったのではないでしょうか。

小寺 :そうですね。科学絵本は知らないこともたくさん出てきますので、誤訳しないよう、また、自分自身が納得して訳せるよう、時間の許す限り調べまくりました。科学絵本を読むのは好きで、読み聞かせにもよく使ってきましたが、自分で訳そうと思ったことはありませんでした。でも、思いがけずご依頼いただいたこの3冊の翻訳を通して、調べながら訳すノンフィクション翻訳の楽しさを知りました。

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