ブロードウェイ・ミュージカル、洋楽の翻訳を経験した小橋川尚弘さん Flavor
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<第121回>  全4ページ
翻訳家をめざして英語を多角的に勉強

加賀山 :お仕事のいろいろな場面で翻訳をしてこられましたが、本格的に勉強を始めたのはいつごろですか?

小橋川 :仕事のなかでいろいろ翻訳とかかわりましたが、本業にしたいと思ったのは、2015年の夏ごろですね。会社を辞めて、英語を基本からやり直そうと思い、ある専門学校で徹底的な英語の訓練を始めました。短い日本語の文からすぐに英語の文が出てくる、またその逆もできるようにする同時通訳のような練習や、日本語の短いストーリーを聞いて、即座に英訳する練習があります。英語に訳す際、文型、時制、品詞など文法を徹底的に分析します。そして学習した文章を暗記暗誦。いっさい詰まることなく流ちょうに話せるようになるまで練習します。厳しい授業ではありますが、非常にやりがいがあります。

加賀山 :猛特訓ですね。

小橋川 :そうですね。その学校では、NHKのニュースの二カ国語放送を毎日聞いて日本語と英語を比較する課題、英語ニュースのリスニングおよびディクテーションの課題もありました。それらの課題をこなしていくうちに、ネイティブの英語を聞いて翻訳するのもおもしろそうだと興味が湧きました。映画も好きですし、映像翻訳に取り組みたくなって、去年の10月からフェロー・アカデミーの中尾悦子先生の映像基礎(吹き替え、字幕、ボイスオーバー)を受講しはじめました。

加賀山 :授業はどのような感じですか?

小橋川 :生徒は私を含めて3人なので、生徒と先生の距離感が近く非常にやりがいがあります。まずは吹き替えの学習から始めました。ただ単に英文を訳せばいいという訳ではなく、セリフの長さに合うような訳文を作らなくてはなりません。そして映像を見ているかたにとって、わかりやすい日本語訳を心がける必要があります。しかも、映像描写の詳細、たとえば役者さんの口が映像に映っているかなどを台本に反映させなければなりません。大変ではありますが、実際にやってみると奥が深く新鮮でやりがいのある作業でした。
 中尾先生は自分の良い点と改善点を指摘してくださるので、今後の自分のスキルアップへの励みになります。訳出があいまいであったり、日本語表現がやや不自然な箇所などご指摘いただきますが、改善へのステップになります。逆に、良いセリフを作れたときは「前後の関係が生かされて、非常にいいですね」などと褒めてくれます。「台本の作成が丁寧」とおっしゃっていただいたときはうれしかったです。

加賀山 :独特の難しさのなかにも、やり甲斐があると。

小橋川 :はい。先日は、プロの声優さんに来校いただき、アフレコ演習を行いました。自分が作ったセリフをその場で演じていただいたのですが、もう圧巻でした。ここでも声優さんから、セリフの長さの調整など改善点をご指摘いただきました。実際に現場でご活躍されているプロの声優さんからのアドバイスはとても参考になりました。また、「話し言葉を意識して訳されてたので演じやすかった」と言われたのはうれしかったですね。

加賀山 :プロのかたに訳を読んでいただくと、すごく勉強になりそうです。

小橋川 :とても勉強になりますね。吹き替えの基礎学習が終わり、現在は字幕翻訳の学習中。字幕制作ソフトSSTを使いはじめたばかりです。吹き替えと全然違うので、これがまた新鮮です。字幕翻訳は字数制限がありますから、これが難しいですね。少なすぎてもいけないし、多すぎてもいけない。しかも前後関係の流れを意識して字幕をつくらなければなりません。中尾先生から「映像を見るかたに『字幕を読んでいただくこと』を意識することが大事」と教えられました。それを念頭において今後の学習に取り組んでいこうと思います。
 あとは同じクラスの生徒さんの訳も参考になります。自分が上手く訳せなかったところを他の生徒さんが上手く訳せていたり、また逆のケースもあります。こういったところもおもしろいですね。フェロー・アカデミーの通学講座は、同じ目標を持つ生徒同士でも学び合えるので有意義であると感じています。

 
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