【アメリア】Flavor of the Month 13 瀧口香織さん
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Flavor of the Month
<第13回>   全4ページ


第13回

特許翻訳は私の天職! 何年やっても「まだまだだな」って常に上を目指していられる面白さがあると思います
  瀧口香織さん
Koari Takiguchi

理学部を卒業して化粧品メーカーの研究職に そこで目にしたのは“リストラ”でした

坂田:今回は特許翻訳をなさっている瀧口香織さんがゲストです。こんにちは。よろしくお願いします。

瀧口
:こちらこそ、よろしくお願いします。

坂田:経歴を拝見すると大学は理学部化学科ということなんですが、そのころから翻訳家を目指していらっしゃったんですか?

瀧口:いいえ、そういうわけではないんです。高校2年生ぐらいになると、受験にあたって何学部を選ぶか考えますよね。私は英語が好きだったので英文科も考えたのですが、化学も好きだったので、どちらにしようか悩んだんです。そこで考えたのは、英語は独学ができるかも知れないけれど、化学は独学は無理かな、ということでした。それで大学進学は化学を選びました。

坂田:理学部の化学科というと男子生徒が多そうですよね。

瀧口:そうですね。女子が多いのは薬学部ぐらいで、それ以外の学部は男子が多いですね。私のクラスは全部で約60人だったのですが、女子はその1割ぐらいでした。でも、進級が厳しいので、2年生になると女子の割合が高くなるんですよ。

坂田:女子の方が優秀だということですね(笑)。

瀧口:でも私は友達から「おまえは自分の大学名を言うな。恥ずかしいから!」なんて言われていたんですよ(笑)。実は入学した初日に、自分でも「学部の選択を間違えたかな」って思いました。

坂田:それはどうしてですか?

瀧口:今はそうでもないみたいですが、私たちの頃はいかにも地方から上京してきたばかりという風貌で、化学大好き、化学のことなら誰にも負けない、みたいなマニアックな感じの男子学生が多かったんです。私も化学はすごく好きでしたが、そこまでマニアックにはなれなくて……。でも、授業はとても面白かったですよ。

坂田:では、大学時代に英語の方はどうやって勉強したのですか?

瀧口:英会話教室に通ったり、TOEICを受けたりといった程度です。ただ、化学の論文などは英語で書かれているので、それをたくさん読むようにしていました。

坂田:卒業後はどのような仕事に就かれたのですか?

瀧口:大学卒業後の主な就職先は2つなんです。学校の先生になるか、研究職につくか。私も、何の迷いもなく化粧品メーカーの研究室に就職して、研究開発職につきました。ちょうどバブルが崩壊したてだったので、1年生の頃、4年生の先輩は引く手あまただったのに、4年経ってみたら状況がガラリと変わっていて、就職活動はかなり厳しかったです。

坂田:大学の専攻を生かして化学のスペシャリストとして就職したということですね。研究開発という仕事は面白かったですか?

瀧口:はい。小さな会社で、新入社員の頃からどんどん仕事をさせてくれたので、仕事は充実していました。ただ、入社早々にいわゆる"リストラ"を目の当たりにして、会社に対する考え方が変わりましたね。メーカーなので工場があって、そこには高校を卒業して何十年も会社一筋に働いてきたおじさんたちが大勢いたんです。そうした社員に会社は早期退職をすすめて、「辞めてください」といわんばかり。新入社員の私をとてもかわいがってくれたおじさんたちがどんどん辞めていくのを見て、「終身雇用の時代は終わったんだな」と実感しました。会社で一生懸命働いても、何十年経ってからこんな風に辞めさせられるのなら、ずっと会社員でいてもしょうがないなと。

坂田:それで、転職を考えた?

瀧口:ただ、研究開発の仕事自体はすごく楽しかったので、すぐには考えませんでした。ところが入社3年目に会社が営業部だけを東京に残して、あとは全部東北へ移転するという計画を発表したんです。その時に会社を辞める決心をしました。別に田舎暮らしが嫌だというわけではなかったのですが、今までリストラの現状を見てきて、会社員で居続けることに疑問をもっていたので、すぐに決心がつきました。

坂田:3年目に会社を辞めて、その後はどうしたのですか?

瀧口:別の会社で研究職に就くという選択肢もあったのですが、すぐには就職活動をせずに、フェロー・アカデミーのフリーランスコースに入学しました。実は、会社で研究をしている最中に、『特許翻訳』というものに出会って「これは面白い!」と夢中になっていたんです。


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