【アメリア】Flavor of the Month 15 木下真裕子さん
読み物
Flavor of the Month
<第15回>   全3ページ


第15回

オープンセサミの特別講演会に親子で参加楽しい時間が過ごせました
  木下 真裕子さん
Mayuko kinoshita

子どもの頃から本好きでした。今では娘が読書友達です

坂田:今回は2003年春のオープンセサミに参加してくださった木下真裕子さんがゲストです。こんにちは。よろしくお願いします。

木下:こんにちは。緊張しますね。よろしくお願いします。

坂田:オープンセサミというのはフェロー・アカデミーが年2回、春と夏に開催している短期集中講座なのですが、翻訳に関する講演会や翻訳演習講座など、多彩なプログラムが揃っています。その中で今回木下さんが参加されたのは2月1日土曜日に開かれた『ファンタジー翻訳の世界』という特別講演。講師は『ダレン・シャン』シリーズ(小学館発行)の翻訳者である橋本恵さんでした。実はこの講演会に木下さんは小学5年生の娘さんといっしょに参加なさったんですよね。小学5年生というのはフェロー・アカデミー受講者の最年少記録だそうなんです! どのような経緯で親子受講することになったのか教えてください。

木下:私がフェロー・アカデミーのホームページを見ているときに、この講演会の案内を見つけて、「ダレン・シャンの訳者の橋本恵さんが来るよ」と娘に話したんです。すると娘が目を輝かせながら「私も行ける!?」って。実は、娘は『ダレン・シャン』の大ファンなんです。ファンタジーはたくさん読んでいますが、いちばんのお気に入りが『ダレン・シャン』。すぐに事務局にメールで「小学5年生ですが受講できますか?」と問い合わせをしました。すると「『ダレン・シャン』の話だけではなく翻訳全般の話になりますが、それでもよろしければ……」という返事をいただいて、それでふたりで申し込んだんです。

坂田:では、実際に講演をお聴きになって、ご感想は?

木下:90分の講演でしたが、お話の内容が楽しくて、あっという間でした。前半は橋本先生が翻訳家になって『ダレン・シャン』シリーズに出会うまで、後半は『ダレン・シャン』シリーズの裏話といった内容でした。前半のお話では、もちろんパッと幸運をつかまれたわけではなく、勉強されて、苦しい思いもされて、一歩一歩進んでこられたのだということがわかり、翻訳を勉強している私にとって、たいへん興味深い内容でした。それから後半の翻訳裏話のところでは、「この登場人物がこうしたときの訳は……」と詳しく話してくださったので、全シリーズ読破している娘の頭の中にはありありとその情景が浮かんできたようで、「すごく楽しかった」と喜んでいました。やはり親子で参加してよかったと思いました。

坂田:そうですか。訳者の方から直接裏話を聞いた後にもう一度本を読み返すと、またさらに面白みが増すでしょうね。娘さんは随分と本を読むのが好きなようですね。

木下:はい。私も小学生の頃は本ばかり読んでいる子どもで、娘が生まれてからも図書館や書店にしょっちゅう連れて行っていた影響でしょうか、下には5歳の娘もいるのですがふたりとも本が大好きなんです。

坂田:なかでもファンタジーが?

木下:そうですね。最近はファンタジー・ブームで出版数が多いということもあるのでしょうが、もちろん『ハリー・ポッター』シリーズ(静山社発行・松岡佑子訳)も読んでいますし、『盗まれた記憶の博物館』(あすなろ書房発行・酒寄進一訳)も気に入ったようでした。でも、中でもいちばんは『ダレン・シャン』シリーズなんです。圧倒的に面白いし、読みやすいって言っています。

坂田:たくさん本を読んでいるから、翻訳書でも読みやすい本、読みにくい本がよくわかるんでしょうね。子どもは大人よりもずっと物語に感情移入するでしょうから、読みやすいというのも体で感じるのでしょう。木下さんご自身も昔から本が好きと言うことですが、では、翻訳の勉強をはじめようと思ったのはどういう経緯だったのですか?

木下:本好きとはいっても小学生の頃の話で、中学・高校時代はあまり読まなかったんです。翻訳というか、まず英語に興味を惹かれたのが高校の時でした。英語の先生にちょっと変わった先生がいらっしゃって、授業でロアルド・ダールの『南から来た男』など、いろいろな短編小説を教材に使ったんです。それがすごく面白くて。洋楽をよく聴いていたこともあって英語が好きになり、大学は外国語の関係に進みました。

坂田:高校の授業は入試が控えていることもあり教科書一辺倒の授業が多いなか、短編小説を読むというのは本好きの木下さんにとって楽しいものだったのでしょうね。

木下:そうですね。高校時代というと、今でもその先生のことを思い出します。大学ではスペイン語を専攻したのですが、卒業後も語学の勉強を続けたいと思い、スペイン語や英語の学校に通ったりしました。そのひとつが翻訳学校だったんです。1年ぐらい通いました。翻訳学校では生徒がそれぞれ自分が訳した文章を読んでいくのですが、翻訳ですから先生も「これは良い」「これはダメ」とはっきり言えない部分がありますよね。でもその頃は私自身まだよくわかっていなくて、「良いなら良い、悪いなら悪いとはっきり言って!」という気持ちだったんです。そんな欲求不満と、仕事が忙しくなっていったこともあり、翻訳の勉強は1年で辞めてしまいました。


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