【アメリア】Flavor of the Month 36 番 由美子さん
読み物
Flavor of the Month
<第36回>  全5ページ


番 由美子さん

第36回
海外在住の強みを生かし 出版企画をどんどん提案できる 翻訳者になりたい!
  番 由美子さん
Yumiko Ban


日本じゃないのにどこか懐かしい、そんな外国の物語との出会い

坂田:みなさん、こんにちは。前回に引き続き海外在住の会員さんをゲストにお招きしています。フランスに4年、そして現在はイギリスに住んで2年目になるという番由美子さんです。番さん、よろしくお願いします。

:よろしくお願いします。

坂田:さっそくですが、番さんが海外に住むようになったのは、いつ頃、どんな理由からですか?

:日本の大学を卒業して間もなく、留学のため海外に出ました。数年間インターンシップや語学学校で英語や仏語を学んでから、パリ大学のESITという通訳・翻訳者養成機関で翻訳理論やメソッドを履修しました。二年前に卒業し、昨年(2004年)から家人の都合でロンドンに移りました。

坂田:パリに留学なさったということは、大学でフランス語を勉強なさっていたとか?

:日本の大学の専攻は西洋近代語・近代文学で、英語とフランス語を選択していました。といっても8割がたは英文の科目を履修し、卒業論文も題材はイギリス小説でした。

坂田:パリ大学の通訳・翻訳者養成機関で学ばれたということですが、翻訳を勉強するきっかけは何だったのですか?

:子供のころから読む本といえば翻訳ものが多く、漠然と憧れを抱いていました。翻訳の勉強をするようになった直接のきっかけは、大学でとった「翻訳論」の講義です。翻訳論といっても内容は演習に近いもので、名翻訳家の教授が毎週ていねいに添削してくださるという、とても刺激的で貴重な講義でした。以来、翻訳を具体的に意識するようになり、大学4年の頃には翻訳の通信講座も受講しました。留学を決めたのにはいくつか理由がありますが、現地の文化に触れながら翻訳の勉強をしたいと思ったのも大きな理由の一つです。

坂田:子どもの頃に読んで感銘を受けた翻訳本はありますか?

:そうですね、特に翻訳者を意識した本というと、まず小学5年生ぐらいのときに読んだアーサー・ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』シリーズが思い浮かびます。イギリス湖水地方のさわやかな夏の世界に夢中になりました。日本とかけ離れた世界なのにどこか昔懐かしい雰囲気が漂っていて、これを訳した人はいったいどんな人なのだろう? と興味を惹かれました。それで初めて訳者の一人である神宮輝夫さんという名前を意識し、他の作品も探して読んだのを覚えています。

坂田:そうですか。その翻訳者の他の作品も探して読んだとは、よほど感銘を受けたのですね。他にもありますか?

:『プチ・ニコラ』シリーズも忘れがたい本です。これも読んだのは小学校4、5年頃だったと思います。皮肉の効いたユーモア溢れるドタバタ喜劇なのに、行間からはゆったりしたフランスの情緒が溢れている……そんな奇妙な組み合わせの作品が新鮮で、何度も読み返しました。サンペの挿絵もさることながら、ささもとたかしさんの飄々とした味わいの訳が大好きでした。うろ覚えですが「海はごきげんだった」など、いくつかの言い回しが印象に残っています。

坂田:感受性豊かな子どもの頃に読んだ本が良質の翻訳書だった、それが番さんを翻訳の世界へと導いたのですね。
トップへ 次へ