【アメリア】Flavor of the Month 46 田中健彦さん
読み物
Flavor of the Month
<第46回>  全6ページ


自分の人生経験と重なり、深く理解できた最初の訳書

坂田:訳書『実践EQ 人と組織を活かす鉄則』を田中さんから紹介していただけますか?


田中:IQが論理的思考能力の尺度であることはよく知られています。企業などのリーダーは、頭の回転が速く、やる気があり、エネルギッシュな人が選ばれる。つまりIQが高い人というわけです。ところが、米国での長年の調査の結果、持続する企業の成長を支えたリーダーは、IQよりもむしろEQ、つまり人の心がわかる人間かどうかの部分に圧倒的な差があることがわかったのです。EQ能力が欠けているリーダー、あるいは一時的に喪失してしまっているリーダーは組織を混乱させ、自分自身もダメ社員になって信じられないほどの落ち込みを経験するというのです。そういわれてみれば、自分の人生でも思い当たることが二つも三つもあります。あのときの自分は、まさにこうだったと。

坂田:長年の社会経験から、この本の内容が深く理解できたというわけですね。

田中:この本は、経営とリーダーシップの世界が舞台ですが、そのテーマは“心”であり、人生をどう生きるか、ということなんです。翻訳していくうちに、自分の過去の会社生活、家庭生活で味わったたくさんの挫折や苦闘が一つ一つよみがえってきて、改めて自分という人間を振り返ることになりました。

坂田:まさに田中さんが知りたかったことがこの本に詰まっていたと。

田中:はい。翻訳をやっていて本当に幸せだと思うのは、新しいコンセプトに日本で初めて触れられることですね。そして、それを日本のリーダーにどう伝えるかを判断するのは訳者である私なんです。

坂田:翻訳は本当に素晴らしい職業、田中さんにとって天職になるかもしれませんね。最後に田中さんの今後の目標を聞かせていただけますか?

田中:私はようやく1冊の訳書を出したばかりですが、出版業界で一人前の翻訳者として認知されるためには4冊を出さなければいけないそうです。ですから、まずは4冊の訳書を出すことを目標にしたいと思います。お金のためにはじめたわけではありませんが、普通のビジネスをしているのと同じくらいの収入が翻訳で得られるようになりたいですね。そして、翻訳家として一人前になって少し余裕ができたら、中国の奥地、たとえば雲南省のシャングリラを歩いて、写真集を自費出版したいですね。いま中国語検定2級にチャレンジ中なんですよ。

坂田:素晴らしい夢ですね。

田中:最後にひと言、私はまだたった1冊を訳したに過ぎませんが、私のような新人で、アメリアだけで勉強している者でも、希望を持ち続けさえすれば必ずチャンスは巡ってくるのです。これを私からのメッセージとしてみなさんに伝えたいと思います。

坂田:力強いメッセージ、ありがとうございました。


 
    海外留学の試験では友人に負け、通訳ガイドの試験でもあと少しで日本最年少記録を逃し、会社でも挫折を味わうなど、数々の悔しい思いを経て、それでも英語から離れることなく歩んできた田中さん。「英語が趣味」から「翻訳が天職」になる日も近いのではないでしょうか。経営者の目から見たわかりやすい経営書の翻訳、これからも期待しています!
 
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