【アメリア】Flavor of the Month 49 安本智子さん ]
読み物
Flavor of the Month
<第49回>  全4ページ


眠っていた夢の復活、そしてチャンス到来!

坂田
:眠っていた翻訳家の夢が、もう一度ふくらんだ瞬間ですね!

安本:会社が暇で、それでも事務所にいなくてはならないから身動きがとれなくて、でも目の前にパソコンがあってネットでつながっているんですから、入らない手はないですよね。

坂田:アメリアに再入会してからは、どのようなものに参加しましたか?

安本:最初は、ときどきJOB INDEXを覗く程度でした。でも、特に専門分野もなく文芸ばかり勉強してきた私には実務翻訳の仕事は難しそうだったので、結局、スペシャルトライアルや出版翻訳の定例トライアルだけチェックして応募するようになりました。

坂田:それで、今回出版されることになった訳書も、スペシャルトライアルで翻訳者を募集していたのですよね。

安本:そうです。課題には、「科学的な愛の解説書」という説明がついていました。過去にやった下訳がセルフヘルプや心理関係だったこともあり、自分に向いた内容だから応募しよう、と思いました。

坂田:課題の出来はいかがでしたか?

安本
:募集を知ったのが遅くて、推敲する時間があまりなかったのですが、恋愛がテーマだけに、やわらかくて誠実な語り口になるように気を遣いました。実は、夫は京都でネイティヴの先生に教えていただいたときのクラスメイトなんです。学生の頃には塾で英語の先生をしていたこともあり、英語については一家言ある人で、私は彼からもかなり鍛えられた面があります。私は夫の批評に耐えるかどうか、というのを自分の翻訳の基準にしています。一人で翻訳していると近視眼的になるというか、自分の考えにとらわれてしまうことがあるので、そんなときに客観的に批評してくれる存在はすごく貴重です。今回のスペシャルトライアルの訳文も夫に読んでもらいました。ただ、それでも自信はなかったですが。

坂田:合格の通知はどのように受け取りましたか?

安本:通知は会社にいるとき、携帯とパソコンの両方にメールで受け取りました。期待していなかったので、びっくりしました。文面をプリントアウトして何度も読みました(笑)。自分の生き方に初めて一本筋が通った気がして、嬉しかったです。

坂田:実際に訳し始めて、いかがでしたか?

安本:翻訳を始める前に、最終的にどういう本に仕上げるか、という方向性について話をしたのですが、出版社の方と自分の考えがよく合っていたので、安心して取り組めました。はじめに一度お電話しただけで、あとはすべてメールのやりとりでしたが、不安は一切感じませんでした。

坂田:翻訳を進める上で、難しかった点、悩んだ点などはありましたか?

安本:原書を最初から最後までそのまま訳すのではなく、必要に応じてカットしたり、まとめたりして整理する必要がありました。そのあたりの編集作業的な判断に悩むことはありました。あとは、仕事や家庭生活との兼ね合いなど、ペース配分が難しかったです。今回はかなり翻訳の期間をいただけたので、何とかやり遂げることができました。夫にも休日に子供を外へ連れ出してもらったり、ずいぶん協力してもらいました。

坂田:では、どのような内容の本なのか、訳者の安本さんから紹介していただけますか?

安本:タイトルは『女には優しいまなざし、男には優しい言葉を』。恋愛のメカニズムを科学的研究から解き明かすという、新しい切り口の恋愛書です。動物行動学や脳科学など、ホットな分野の情報がたくさん盛り込まれています。女性だけでなく男性にとっても興味深い内容だと思います。

坂田:恋愛を科学的に分析するというのは面白そうですね。ぜひ読んでみたいと思います。最後に、安本さんの今後の夢を教えていただけますか?

安本:今後の目標は、やはり二冊目の訳書を出すことです。夢は……そうですね、いつの日か、異国の地で暮らしたいです。冬の寒い、古い街がいいです。ベルリンとか、ボストンとか、北京とか。

坂田
:素敵ですね。ボーダレスになった現在、世界中どこにいても翻訳はできますので、ぜひその夢を叶えてください。今日はどうもありがとうございました。

 
    さまざまな困難、気持ちがくじけることや、自分自身の力不足に悩むことは、多かれ少なかれ誰しも経験することだと思います。それでも諦めないこと。それが成功への唯一のパスポートだと、安本さんのお話を伺って感じました。いま、くじけそうになっている人も、きっと、いつの日か……。
 
前へ トップへ