【アメリア】Flavor of the Month 55 佐藤 志緒さん
読み物
Flavor of the Month
<第55回>  全5ページ


佐藤 志緒さん

第55回
通信講座と独学で翻訳力を磨き コンテストをきっかけに出版翻訳の仕事にたどりつきました
  佐藤 志緒さん
Shio Sato


通信講座、終えたら即デビュー!の野心は……
坂田:今回のゲスト、佐藤志緒さんは、結婚を機に会社を退職したときから翻訳の勉強を始め、主に通信講座と独学で学習を続けたそうです。今では22冊の訳書を持つという佐藤さんに、お仕事を得るまでの道のりを聞かせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

佐藤:こちらこそ、よろしくお願いします。

坂田:初めて翻訳の仕事を意識したのは、大学卒業の頃だったそうですね。

佐藤:はい。卒業を前に自分は何になりたいかを考えたとき、専門職というか、職人というか、何か自分の腕を磨いて仕事ができたらいいなと思ったんです。弁護士、美容師、エステティシャン……そんなイメージです。翻訳者というのも、そのうちのひとつで、大学が英文科でしたし、子どもの頃から翻訳本がとても好きでよく読んでいましたので、だんだん翻訳に対する思いが強くなっていきました。ただその時は、どうすれば翻訳者になれるのかまったくわからず、漠然とした憧れのようなもので終わってしまったのですが。

坂田:実際には秘書のお仕事に就かれたんですね。秘書というのも専門職のイメージがありますね。

佐藤:そうですね。職人っぽいところがありますよね。だから目指そうと思ったのかもしれません。

坂田:それからずっと秘書のお仕事を?

佐藤: 3、4社転職をしましたが、職種はずっと秘書でした。

坂田:秘書のお仕事の中に、通訳や翻訳が含まれることもあるかと思いますが、佐藤さんの場合はどうでしたか?

佐藤:はい、含まれていました。通訳はほとんどなかったのですが、翻訳の仕事はありました。ある外資系の輸入商社に勤めていたときのことです。輸入品の不具合について各店舗の方からレポートが送られてくるのですが、それを英語に訳して本社に送る仕事を任されていました。その商品でしか使わない専門用語を覚えたり、同じ仕事をしている先輩方の訳文を参考にしたりしてスキルを身につけていきました。

坂田:その後、ご結婚を機に秘書の仕事を辞めて、翻訳を本格的に勉強しはじめたのはそれからということですね。

佐藤:はい、出版翻訳の通信講座を受けました。

坂田:不具合レポートという実務翻訳のご経験があったのに、出版翻訳を目指したのはどうしてですか?

佐藤:子どもの頃から翻訳の童話や小説を読んでいたので、翻訳イコール出版翻訳という頭しかなかったようです。実務翻訳を勉強しようとは、そのときはまったく思いつきませんでした。

坂田:そうですか。通信講座はどのような内容でしたか?

佐藤:出版翻訳の基礎を学ぶコースが1年、その後の上級コースが1年、合計2年で終わるものでしたが、ある程度の延長が認められていて、私は結局3年くらいかけて修了しました。

坂田:わりとのんびり勉強していたということですか?

佐藤:実は、いま思うと大きな勘違いなのですが、勉強を始めた頃には、上級コースが修了する頃には、「ひょっとして出版翻訳家としてデビューできるかも!」と思っていたんです。だから、駆け足でひととおり勉強するのではなく、とにかく良い点が取りたくて、時間をかけてじっくり勉強していました。

坂田:良い成績で講座を終えれば、すぐに仕事の話が舞い込むかも、という思いだったのでしょうか。

佐藤:そうですね。そういう野心があったと思います。実際やってみると、そんなに甘いものではないとすぐにわかりましたが、愚かにもその時は……。
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