【アメリア】Flavor of the Month 87 大久保 雄介さん
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Flavor of the Month
<第87回>  全5ページ


「半農半翻訳」+村おこし 翻訳者の方もぜひ田舎に!

濱野 :現在の生活は翻訳と農業がちょうどよくミックスされていて、理想的ですね。

大久保 :そうですね。「翻訳」と「田舎暮らし」というのが、たまたま組み合わせが良かったんでしょうね。それは運が良かったと思います。特に夏は、6時間の翻訳と、あとは大好きな農業をやって生活できる。8時間働いてさらに残業している方がいっぱいいらっしゃる中で、すごくありがたい話です。

濱野 :農業というのはそんな簡単な話ではないとは思いますが、聞いているだけで私も移住したくなってきます(笑)。最近、U・Iターンが増加しているのもわかりますね。大久保さん自身も、村への移住や地域活性化を促進するためのイベントなどを企画・運営されているとお聞きしましたが。

農業が忙しい夏は1日6時間に仕事をセーブ

大久保 :そうなんです。「地域おこし協力隊」という国のプロジェクトがあり、小川村を盛り上げるために4人が移住してきて、村の活性化計画をいろいろと進めてくれているんです。彼らから声がかかり、私も地元の実行委員として、ときどきイベントを手伝うことになりました。

濱野 :そんな国のプロジェクトがあるとは……今日は知らないことばかりです(笑)。どんなイベントを開催しているんですか?

大久保 :たとえば、今流行しているアウトドア系の街コンを参考に、山里コンというのを開催しました。「山遊びしながら男女の出会いの場を作ろう」というイベントです。
 また、協力隊の手伝いのほかにも、私も独自に活動しています。小川村には「おやき」という名物があるのですが、それを囲炉裏で焼いて食べられる「おやき村」という施設があります。そこで様々な人との出会いをテーマにした「マルシェおがわ」という「なんでも市」を去年から私の主催でやっています。村で「半農半X」をしているUターン、Iターン組の人たちに出店してもらい、パン、コーヒー、草木染めの服、野菜、手作り品などが並びます。

小川村名物「おやき」は、炒めた野菜や山菜を、小麦粉を練った生地で包んで焼いたもの

濱野 :半農半翻訳に加えて、村おこしですか。大活躍ですね。最後になりますが、今後の夢を教えていただけますか?

大久保 :そうですね……翻訳については、まだトライアルに落ちることもありますし、さらなるスキルアップが必要だと感じています。農業のほうも、満足するだけの野菜の量は作れていませんし、米などの作物にはまだ手が届いていません。翻訳でも、田舎でも、さらにスキルを磨いて、もっと役に立つ人間になるのが目標です。村おこしのほうもできるかぎり続けて、田舎にもう少し活気を与えていきたいですね。

濱野 :今日の大久保さんのインタビューを読んで、Iターン・Uターンを考える翻訳者さんが増えるかもしれませんよ。あるいは、田舎暮らしをするために翻訳という仕事を考える方もいるかもしれません。

大久保 :だといいですね。翻訳者はインターネット環境があればだいたい仕事ができると思うので、 田舎暮らしは特にお勧めです。農業をするためには翻訳の仕事をセーブしなくてはいけませんが、収入が減ったとしても、田舎は出費が少ないので問題ありません。住居は村営住宅をはじめ、古民家などの空き家にも入居できます。村営住宅は収入に応じた家賃設定ですし、小川村の桜の見ごろはゴールデンウィーク頃空き家も私の東京時代と比較して、3分の1ほどで借りられるケースも多々あります。それに、野菜も自分で作れば買うよりも断然安くなりますし。翻訳に疲れても、きれいな景色と空気の中を散歩すれば気分も晴れます(笑)。これからは半農半翻訳の良いところを具体的に発信していきたいと思います。あと、地方翻訳者のネットワークのようなものも作って、繋がっていけたら最高ですね。

濱野 :半農半翻訳―まさにいいこと尽くしですね。今日は、翻訳という仕事の新しい形を知った気がします。このインタビューを読んだ多くの方にもそう感じていただけるのではないかと思います。貴重なお話、ありがとうございました。翻訳、農業、村おこし、と大忙しの大久保さんですが、今後のさらなるご活躍を祈っております。

■実は、昨年の村おこしのイベント「山里コン」で現在の奥様に出会ったという新婚の大久保さん。東京と海外での生活を経て田舎暮らしを始め、生涯の伴侶まで得たわけですね。やはり、田舎暮らしにたどり着いたのは運命だったのでしょうか。大久保さんのお話を聞いていると、「人間味」や「人との繋がり」の大切さを改めて実感できました。ありがとうございます! 「半X半翻訳」というライフスタイルも流行りそうです……

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