【アメリア】Flavor of the Month 93 新保 亜紀さん
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Flavor of the Month
<第93回>  全5ページ

新保 亜紀さん

第93回

映像、実務翻訳とマルチに活躍 現在は海外ドキュメンタリー翻訳の制作に携わる 新保 亜紀さん

Aki Shimbo

偶然出会った海外ドキュメンタリー制作の仕事

濱野 :本日は、映像翻訳の分野でご活躍中の新保亜紀さんをお招きしました。もともとはIT分野の技術文書やマーケティング関連の翻訳を仕事にしていた新保さん。その後、映像翻訳の字幕コンテストで最優秀賞を受賞し、映像翻訳者に転身したという異色の経歴をお持ちです。IT業界からどのように映像翻訳の世界へと繋がっていくのか、経緯をお聞きするのが楽しみです! 現在は映像制作会社にお勤めとのことですが、どんなお仕事をされているのですか?

新保 :マグノリアカンパニーという映像制作会社に勤めていますが、主な業務は海外ドキュメンタリーの日本語版制作の進行管理です。

濱野 :翻訳を担当することもあるのですか?

新保 :業務全体の20%くらいが翻訳になるでしょうか。ただ、あくまでも制作の進行管理の業務が主体になりますので、そちらに影響を及ぼさないよう、翻訳は外部の方にお願いすることが基本です。とはいえ、私自身は翻訳者ですし、隙があれば翻訳をやりたいというところはあるんですけれども(笑)。

濱野 :翻訳者志望の新保さんが、進行管理の仕事に就いたきっかけは?

新保 :映像字幕のコンクールで賞をいただき、映像翻訳者として本格的に活動を始めようとしていたときに、仕事の幅を広げたくてマグノリアカンパニーの翻訳者登録のトライアルを受けたんです。運よく登録してもらえることになったのですが、ちょうどそのタイミングで進行管理担当の社員が退職することになったんです。それで、私の経歴を見た担当者が、進行管理も翻訳も両方できるんじゃないか、と。

濱野 :ということは、進行管理の仕事に就くことになったのはまったくの偶然だったわけですね。ところで、「海外ドキュメンタリーの進行管理」というお仕事、漠然とはイメージできるのですが……。実際にどんな業務なのか、簡単な流れを教えていただけますか? 

収録を行なうための自社スタジオ

新保 :簡単に言うと、海外で制作されたドキュメンタリー番組の素材を受け取り、放送日に間に合うように日本語版を作るまでのすべての流れを管理する仕事です。制作スケジュールを立てることから始まり、翻訳者さん、プロデューサーやディレクターの方々のスケジュールを調整して、スタジオを押さえたり、日本語版の放送分数に合わせた映像編集と台本制作のフローの中で細かなことのお手伝いをしたり。翻訳が終わって台本ができたら、声優さんを手配し、ナレーションなどの吹き替え収録をして、最後にまた編集。その一連の流れを管理する仕事です。

濱野 :なるほど、日本語版のために分数を変えたり、映像自体を編集したりすることもあるのですね。ホームページを拝見したところ、自社スタジオもお持ちのようですが、そこで収録することが多いのでしょうか?

新保 :100%そうですね。マグノリアカンパニーでは、収録後の編集まですべて社内で行なっています。

濱野 :新保さんは翻訳者でありながら、翻訳を依頼する側でもあるわけですが、制作側ならではの悩みというのは何かありますか? こんな翻訳者が欲しい、とか?

新保 :弊社は翻訳会社ではなく、あくまでも翻訳を含めた映像制作をワンストップで行なうことを強みとする映像制作会社なので、翻訳に対する要望が通常とは少し異なるかもしれません。より演出を意識した翻訳を求めているというか……。社内でよく言われるのは、日本語の表現力が非常に重要だということです。映像翻訳の場合、言葉だけでなく、映像の中に解釈の鍵があることも多いので、画をしっかり見て、少しでもおかしいと思ったらきっちり裏を取る。ドキュメンタリーの場合は裏取りも非常に重要です。一方で、画と言葉の整合性を取るために多少の演出が求められることもあります。そういうバランスの取れた翻訳者さんにお願いしたい、と言われますね。私自身にとっても耳の痛い話ですが。

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