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  アイオワ義父殺人裁判 提案者:充田
用語: 州裁判所の呼称について
訳語候補:
説明: パート1/ユニット1 & 4

我々が従来関わってきた判例は、連邦裁判所に管轄権のある著作権の判例が多く、それ以外の判例でも殆んどが連邦裁判所に関わるものであったため、州の裁判所の判例を翻訳するのは恐らく今回が始めての経験であるように思います。そこで、従来馴染んできた連邦裁判所の「地方裁判所→控訴裁判所→最高裁判所」とは別に、アイオワ州の三審制の各裁判所の呼称をどうしたものかが問題となりました。アメリア判例翻訳プロジェクトの「アメリカの判例と裁判について」の解説のIII.アメリカの裁判所−2.州の欄を拝見いたしますと、州裁判所(三審制)の一般的呼称として、1)第一審裁判所→2)控訴審裁判所→3)最上級裁判所が上げられております。我々はユニット1/4などで種々議論の末、上記で示された呼称は機能と審級に着目した制度解説上の一般的呼称であって、各州の具体的事例の翻訳には別途工夫が必要という意見もあり、結局検討期間中の結論としては上記連邦裁判所で馴染みが深い呼称を援用して、本仮訳文では「(アイオワ州)マスカテイン郡地方裁判所→アイオワ州控訴裁判所→アイオワ州最高裁判所」と呼ぶことにいたしました。ただ、今改めて上記解説の2.州の欄で「(州によって)裁判所の名称が異なる場合があるので注意が必要」というご指摘を拝読しますと、それはニューヨーク州のように第一審裁判所が"supreme court"というような場合に注意が必要というご趣旨であって、特定の和訳呼称がない州の場合は一般的呼称でも良いとのご趣旨ではなかったかとも愚考しております。今後またアイオワ州のような州裁判所の判例に接することがあるかも知れませんので、今回仮訳文も含めてご意見を頂きたくお願いいたします。

 州裁判所の呼称について 吉本 2004/06/30 10:29:54
確かに州の判例を翻訳するのは今回が初めてですね。

州の裁判所の詳細に関する資料は少ないのですが、「現代アメリカの司法」(浅香吉幹著)では、巻末に各州の裁判所の名称を示し、「最上級裁判所」「中間上訴裁判所」「一般的管轄権をもつ裁判所/制限的管轄権をもつ裁判所」という形で整理しています。これは非常に便利なので、ご参照ください。

各州で用いられている第一審裁判所の名称は、ニューヨーク州のSupreme Courtはもちろん、多くの州にあるSuperior Court、Circuit Courtという名称などもそのまま訳しておくと誤解を生じる可能性が高いので、Supreme Courtなら「最高裁判所」、Superior Courtなら「上級裁判所」、Circuit Courtなら「巡回裁判所」、District Courtなら「地方裁判所」などとした上でそれぞれに「一審」の但し書きをする必要があると思います。

たとえばカリフォルニア州の第一審裁判所はSuperior Courtですが、この場合は最初に「カリフォルニア州上級裁判所(第一審裁判所)」とした上でその後は「一審」と書くようにするわけです。つまり、その後何度判例の文中にSuperior Courtが出てきてもこれは「一審」であるということ。

ちなみに、一般的管轄権を持つ裁判所をSuperior Courtとしている州では制限的管轄権を持つ裁判所がDistrict Courtになっているところがあります。その州の裁判所にこの二つの名称が存在しているからといってSuperior Courtが中間上訴裁判所であるとは限りません。

一般的管轄権を持つ裁判所と制限的管轄権を持つ裁判所はどちらも大きなくくりで言えば「第一審裁判所」ですが、州によっては後者から前者に上訴が行われることもあるので、一般的管轄権をもつ裁判所の場合は、本当に「第一審」なのかを見極める必要もあるでしょう。

アイオワ州の場合、第一審裁判所がDistrict Court、中間上訴裁判所がCourt of Appeals、最上級裁判所がSupreme Courtと非常に標準的で誤解が生じにくいので、仮訳文のようにそれぞれそのままの名称(つまり「地方裁判所」「控訴裁判所」「最高裁判所」)で訳して結構です。