有志で協力して社会的意義のあるコンテンツを翻訳『翻訳プロジェクト』

辞書の図書館 訳文検討室INDEX
 
 辞書作成室掲示板
 
 
  戦記ビデオ裁判 提案者:martha
用語: certiorari
訳語候補: 裁量上訴
説明: よろしくお願いします。英辞郎には移送命令書という訳もあったのですが、意味するところがわかりにくいので、説明していただけたら、と思います。

 certiorari kazu suncity 2004/11/06 11:41:12
英米法辞典では(既にチェックされていると思いますが):
1.移送令状
 元来は王座裁判所、大法官府など中央にある国王の裁判所が、
 下位の機関による司法権の行使が管轄権の範囲を逸脱しなかっ
 たか、公正に行われたかを審査するため、正式記録の提出を命
 じる令状であった。アメリカでもかつて用いられたが、今日で ほとんどの場合2.の意味で用いられる。
2.(米)裁量上訴(受理令状):サーシオレイライ(令状)
 上訴を受理するか否かが、上訴を受ける裁判所の完全な裁量に
 かかる場合を言う。上訴は、重要な法律問題を含むと上級審が
 判断した場合に許される。〜

(契約、ブローカー詐欺裁判、アメリア)では、「移送令状」と訳され異論が出てないようですので、一応こちらを取りました。
   
 Re:certiorari 吉本 2004/11/25 09:58:19
kazu suncityさんが挙げられた通り、東京大学出版会の「英米法辞典」では、英国における古い手続の訳語に「移送令状」、アメリカにおける今日の手続の訳語に「裁量上訴」をあてていますが、この分類はあまり適切であると思えません。

今日のアメリカにおいても、certiorari(writ of certiorari)は「移送命令(令状)」と「裁量上訴」の両方の意味で用いられています。つまり、下級審から上級審への上訴の申し立ての意味(「裁量上訴」)とそれを上級審が受理した場合に下級審に対して発給される令状の意味(「移送命令」)の両方で用いられているわけです(辞書作成室のcert.denied(certiorari denied)もご参照ください)。

また、「裁量上訴」という言葉自体いまひとつピンと来ないという方も多いのですが、これは、一定の要件を満たせば認められる「権利上訴」(appeal)と裁判所の裁量によってのみ認められる「裁量上訴」との対比が念頭に置かれていないことによるのではないでしょうか。そもそも、裁判所側を主体とする「裁量」と訴訟当事者側を主体とする「上訴」を組み合わせた表現というところにも分かりにくさがあると思いますが。

ちなみに、「英米法辞典」以前の法律辞典(有斐閣「英米法辞典」、商事法務「英米商事法辞典」)では、certiorariの項で「移送命令」(または「移送令状」)という訳語の下に上記の両方の意味を解説していました。