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ヴィレッジブックス

ヴィレッジブックス

ヴィレッジブックスは、2001年に海外ミステリや映画のノベライズ作品を中心に刊行する文庫本レーベルとして立ち上げられました。株式会社ソニー・マガジンズ*の書籍部門を前身にもち、現在は株式会社ウィーヴの出版部に承継されています。

今年で13年目になる文庫本レーベルでは、海外のミステリに加えて、ロマンス、ファンタジー、ヤングアダルト(YA)などのジャンルが揃っています。特にロマンスのラインナップは豊富で、毎月新作を発表しています。

ハードカバーではファンタジーの話題作を中心に、文芸、ノンフィクションまで、やはり翻訳書籍を多く刊行してきました。

「海外ファンタジーでは、ヴァンパイアと人間の少女の恋を描いた『トワイライト』シリーズが好評のうちに完結を迎えました。歴史ファンタジー『テメレア戦記』シリーズや、映画化も決まったYA ファンタジー“タイガーズ・カース”シリーズなど、新たな作品も人気となっています」(副編集長 小野寺志穂さん)

また、海外物としてはアメリカン・コミックスも固定ファンを獲得し、毎月多くのタイトルを発行しています。

* 2012 年合併により現在は株式会社エムオン・エンタテインメント。

原書は慎重に選定、リーダーの存在は重要

毎年何万という新刊が出る出版業界で、次なるヒット作を生みだすのは難しいもの。どのように翻訳出版すべき原書を見つけ出しているのか、副編集長の小野寺さんとロマンス担当編集者の阿野さんに伺いました。

「本当におもしろい作品でないと読者に受け入れられない時代ですので、原書の選定にはさらに慎重に時間をかけるようになっています。有望なタイトルを探す手段のひとつとして、本国の書籍販売サイトに書き込まれたレビューも参考にしていましたが、最近、特にロマンス小説は電子出版が増え、レビューの内容も作品そのもののレベルも玉石混淆で、判断しづらくなってきました。そのため、実際に読む本数が多くなり、そこから厳しく絞り込んでいきますので、出版に至るまでの検討期間が長くなってきているといえます」(阿野さん)

「編集会議にかけて、実際に出版が決まるのは10冊に1冊くらいです。特に文芸作品は読者の心にズンと響く本でないと売れないので、出版のハードルは非常に高くなっています。編集者自身も原書を読みますが数に限りがあります。原書を読んでレジュメをまとめてくれるリーダーさんの存在は、これからもっと重要になると考えています」(小野寺さん)

リーダーに必要なのは、作品を客観的に判断すること

原書を読んで、あらすじや作品の特徴をまとめたレジュメを作成するリーダー。同社ではどのような人に依頼しているのか尋ねました。

「有望な本が見つかったとき、弊社では基本的にはそのまま翻訳を依頼したいと思う翻訳者さんにリーディングをお願いします。しかし編集会議では、有望な本だけでなく、まだ未知数の本も含めて数多くを検討しますので、お付き合いのある翻訳者さんだけではフォローしきれないことも。そんなときはアメリアを通してリーダーさんにレジュメ作成をお願いします。作品の良し悪し、出版に値するかどうかの見解がはっきり書かれているものが検討しやすく、ありがたいです」(阿野さん)

「出版社として、いかに信頼できるリーダーさんとお付き合いができるかは非常に重要なことだと考えています。ストーリーを簡潔にまとめていただくのはもちろん、そのジャンルに精通していて、キャラクターについても深く読み込み、プロの目線、読者目線、双方で客観的に作品の良し悪しを判断してまとめていただけると、とても参考になります」(小野寺さん)

わが社のここが自慢! こだわりの装丁と翻訳者と二人三脚の作り込み

全世界1 億部突破、映画化もされた「トワイライト」シリーズなど、数々のベストセラーを生みだしてきたヴィレッジブックスですが、歴史や知名度、出版点数では大手には及ばないというところから、自社の独自性を打ち出し、他社と差別化することが重要だと考えています。

「おかげさまでレーベルも今年13 年目を迎えますが、立ち上げ当初よりこだわっていることのひとつに装丁があります。メインのターゲットである女性読者を意識して、電車の中でカバーを掛けずに読んでも抵抗がない表紙はもちろん、本文や奥付けなども含めて、ブックデザインにはこだわっています」(小野寺さん)

翻訳のクオリティにおいても「大手ほどネームバリューがない分、読者の方に『ヴィレッジブックスの出す本はちょっと違うね』と選んでいただけるように心がけています」(小野寺さん)と、翻訳者の選定、校正のやり取りから作品の作り込みにおいても、独自性や丁寧さを大事にしています。

「特にロマンスは、自分が女性としての目線で見てドキドキしないと読者の方も楽しめるはずがないと思いますので、妥協せずに納得できるまで翻訳者さんとやり取りするようにしています。翻訳者さんに依頼した時点でキャラクターのイメージなどにズレがないか打ち合わせをし、翻訳が上がってきてからも何度もチェックを入れて翻訳者さんとすりあわせ、さらにブラッシュアップしていきます」(阿野さん)

スタッフからひとこと!

円滑なやり取りで意思の疎通を

よい翻訳作品に仕上げるためには、編集者と翻訳者のやり取りによって翻訳の質をさらに高めていく作業が重要です。編集者の阿野さんに翻訳者に望むことを伺いました。

「お仕事のやりとりはメールが主流になっていますが、初めて一緒にお仕事をする翻訳者さんとは、意思疎通が円滑にできるようになるまではなるべく直接会ってやり取りをするようにしています。よい作品を作り上げるためには、事前の打ち合わせで作品の深い部分にまで踏み込んで話をしておくことが必須ですが、コミュニケーション能力の高い翻訳者さんとは、事前打ち合わせも、また校正時のやり取りもスムーズに進むことが多いです。こちらが投げかけた疑問点に対して、期待を超えるすばらしい表現が返ってくる時がやりがいを感じる瞬間です」(阿野さん)

さらに、締切厳守も今後さらに重要になってくると小野寺さんは指摘します。

「出版状況が厳しくなるなかで、生みだした本を一人でも多くの読者に届けるために、営業部など関連部署と連携を取りつつ書店さんへのプロモーションなどを行っています。刊行計画が売上に直結することも少なくなく、今まで以上に締切の存在が重要に。その手の“旬”を逃さないよう、翻訳者さんとタッグを組めたらと思います」(小野寺さん)

左が副編集長の小野寺さん、右がロマンス担当の阿野さん

〜ヴィレッジブックスの近刊紹介〜

#1『白い虎の月』タイガーズ・カース・シリーズ
#1『白い虎の月』
#2『夢見の森の虎』

コリーン・ハウック著
松山美保訳

青い瞳のホワイトタイガーに心奪われた少女。
インドを舞台に繰り広げられる壮大なラブ・ファンタジーです。2015年に映画化も決定。



『空色の瞳の異邦人』『空色の瞳の異邦人』
『銀色の草原の約束』
『瑠璃色の衣の花嫁』

エリザベス・ヴォーン著
吉嶺英美訳

敵対する騎馬民族の将軍に、王女でありながら惹かれるヒロイン。次々と襲いかかる試練に立ち向かいつつ絆を深めていく二人のロマンス三部作。



『救いようがない』『救いようがない』
リンウッド・バークレイ著
長島水際訳

極度の心配性で危険な都会を逃れて郊外に移り住んだSF 作家ザック。しかしそこでも次々と騒動が起こる。痛快ユーモア・ミステリー。