
岡田 :本日のゲストは出版翻訳の世界で多数の訳書を手がけている田辺千幸さんです。代表作に『トゥルーブラッド』シリーズ全13巻(ソフトバンク・クリエイティブ)、『ロード・オブ・ザ・リング』ビジュアル本全6冊(角川書店)、『ドレスデン・ファイル』シリーズ3巻まで(早川書房)、『1/2の埋葬』(ランダムハウス講談社)、『銀の瞳に恋をして』(二見書房)、『キリストのクローン』3部作(東京創元社)など、他にもたくさんの訳書があります。ネットで田辺さんの訳書を検索したら、なんと70冊近くが出てきました! これだけ多くの作品ですから、さぞや大忙しの毎日ではないかと思います。
田辺 :毎日、机とパソコンにへばりついています(笑)。シリーズものも多いですね。とにかく数をこなして……という感じです。
岡田 :拝見するとミステリー系が多いようですね。
田辺 :ミステリーやファンタジーが多いです。個人的にもそのジャンルが好きで、ヴァンパイアや超能力、魔法がでてくるような、いわゆるパラノーマル系をよく読みます。
岡田 :なるほど。たしかにファンタジー系の作品もそろっていますね。それにしてもこれだけ多くの訳書、いったい1冊をどれくらいのペースで仕上げられるのでしょうか?
田辺 :今は2ヶ月に1册くらいのペースです。
岡田 :それはすごいスピードですね! そのスピードで仕上げるのは至難の業だと思われますが……。いつごろからそのペースでお仕事を?
田辺:3年ほど前でしょうか。それ以前は3ヶ月くらいのペースで訳していたんです。たまたまあるシリーズの担当編集者さんが新任で、出版翻訳ははじめてのご担当で「2ヶ月でお願いします。早く仕上げてください」と……(笑)。それが習慣化して、今でも2ヶ月で仕上げるペースです。
岡田 :習慣化してしまうところがすごいですね。2ヶ月に1冊仕上げるためには、そのお仕事量たるやそうとうなものでは?
田辺 :1週間毎日同じペースでできるわけではないので、1日平均10ページを目標にしています。内容によって前後しますが、最終的に1週間に50ページをノルマにしているんです。
岡田 :明確なノルマですね。1冊何ページくらいの作品が多いですか?
田辺 :たとえば今は350ページほどのものに取りかかっています。
岡田 :週50ページとすると、単純計算して7週間。
田辺 :はい。でもそこに見直しやゲラが入ってくるので、毎日時間に追われ……(笑)。
岡田 :強い意志と体力、それを支える実力があってこそのお話ですね。
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