室田 :今では、在宅フリーランスの翻訳者としてお仕事をなさっておられるわけですが、長年企業にお勤めされていた平岡さんにとっては大きな環境の変化だったのではないかと思います。最初のころはとまどったりすることもありましたか? 例えば、仕事をする時間も完全に自由になるわけですし。
平岡 :それが、私は昔から規則正しい生活を好むタイプでしたので、誰かから強制されなくても規則正しく生活するのは苦ではありませんでした。とまどったのは、会社員時代には読書タイムにあてていた通勤時間がなくなったことです。決まった読書タイムがないので、自分で作り出さなければなりませんでした。英米の書物は引用が多いと言いましたが、引用されがちな古典の知識も含めて、翻訳者は継続してインプットをしていかないと良いアウトプットはできないと思いますので。
室田 :確かにそうですね。でも、翻訳者として仕事が軌道に乗ると勉強や読書の時間がとれなくなるとおっしゃる翻訳者さんは多いです。どうしても目の前の仕事優先になるでしょうし。平岡さんはどうやって読書タイムを捻出しているのですか?
平岡 :私、元々とても早起きでして、会社員時代から朝の4時、5時に起きて英語の勉強や仕事をしていたのですが、フリーになってからはどんどん起きるのが早くなってきて、今では2時から3時に起きるようになってしまいました。
室田 :それは早起きですね! 早朝は仕事がはかどると言う方も多いですが、やはりそうですか?
平岡 :そうだと思います。ただ、私の場合は起きてから4時半頃までは読書タイムにあてています。そのあと翻訳の仕事にとりかかりますが、夕方の16時頃には仕事を終えて、その後を読書タイムにしています。それから、明け方と夕方の一日2回犬の散歩をするのも日課になっています。18時過ぎに家族と夕食をとりながら、大好きなビールを飲んで20時前後には寝てしまいます。
室田 :とても規則正しい生活ですね! 土日もお仕事なさっているのでしょうか?
平岡 :いえ、基本的には土日は休暇と考えています。とはいえ、とにかく翻訳の仕事が好きなので、気分がのっているときは土日も仕事をしてしまうんですけどね。
室田 :好きなお仕事ですもんね。その他に、フリーになって変わったことはありますか。
平岡 :会社員時代は無趣味な人間だったのですが、定年前後からいろいろなことに手を出し始めました。
まず始めたのがサイクリングです。ただ、近場で行ってみたいところはほとんど行ってしまって、今は中断状態です。その代わりに去年の3月から四国遍路を始めました。仕事もありますので、気候のいい春と秋を使い、5回くらいに分けて全行程を踏破しようと思っています。
あとは、つい最近モーター・パラグライダーのスクールに通い始めました。
室田 :アクティブですね! どちらかというとアウトドア派でしょうか。
平岡 :それがインドアも嫌いではなくて、今、家庭用の小さな燻製機を買って燻製料理にはまっています。毎日のようにやっていて、ときにはローストポークやローストビーフのような大物に取り組むこともあります。先日は〆鯖を燻製にしてみたら家族に大評判でした。そうそう、安いプロセスチーズも燻製にするとご馳走になるんですよ。
室田 :平岡さんのお好きなビールにぴったりですね! そんな風にフリーランス生活を存分に楽しんでいる平岡さんですが、今後の目標などはありますか?
平岡 :まだ訳したことのないジャンル、例えば科学系のノンフィクションを翻訳したいですね。好きな数学や、物理関係の本も訳してみたいです。
そして、機会があればフィクションにも挑戦してみたいです。
室田 :理系と文系、両方の素養をお持ちの平岡さんなら、きっとできますね。これからも出版翻訳という第二のキャリアをどんどん積み上げていってください。本日はありがとうございました。