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坂田
:翻訳を始めたきっかけは、定年後を見据えてということだったのですが、今年の4月からはフリーランスの翻訳者として独立なさるそうですね。
古畑
:はい、定年まで1年を残して今年3月で会社を辞めることにしました。
坂田
:定年を待たずに辞めるのはどうしてですか?
古畑
:状況が整えば、できるだけ早く辞めようと思っていたんです。辞める時期が早いほど、その後の翻訳者としての人生が長くなるということですからね。
坂田
:条件が整ったというのは?
古畑
:フリーの翻訳者になれば、今までより収入はがくっと減るでしょうから、それに備えてある程度の蓄えは必要です。
坂田
:それから、翻訳者としてやっていけそうだという自信も必要ですよね。
古畑
:そうですね。3つの分野でノミネ会員にもなれましたし、今回、「翻訳トライアスロン」の総合第1位をいただくことができました。4年ぐらい前から知人の翻訳会社に登録していただいて、週末できるくらいの分量の仕事を請けているのですが、4月から専業になることを伝えたところ、仕事の量を増やしてもらえそうです。そうしたことが自信になっています。
坂田
:では、お仕事は実務翻訳を中心になさる予定ですか?
古畑
:ちょっと欲張りかもしれませんが、分野は絞りたくないんです。分野を絞ったほうが仕事を得やすいし、量もこなしやすいかなとも思うのですが……。
坂田
:では、なぜ分野を絞らないのですか?
古畑
:訳しながら自分でもいろいろな知識が得られるというのが、翻訳の楽しみのひとつですよね。だから、いろんな方面の文章に触れたいと思うんです。定年後の仕事だから、お金のためだけに働くのではないという贅沢が許されるからかもしれませんが。
坂田
:翻訳を始める動機には、いろいろあると思います。金融に興味があるから、音楽が好きだから、という理由で分野を絞って翻訳をする方もいますが、古畑さんの場合は、まず英語が好き、翻訳が好き、ということが先にあるので、分野はあまり重要ではないのでしょうね。先ほど、実務の課題もノンフィクションの課題も違いを感じないとおっしゃったのは、こういうことですね。
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