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持込成功の秘訣
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第1回 運命的な本との出会い
ノンフィクションの持ち込みに成功した田中夏代
Kayo Tanaka
「実はいま、ずっと念願だった翻訳のお仕事に関わっているんです」と笑顔で話し始めた田中さん。この本の出版が決まったと知らせを受けたのは今年の1月下旬のこと。それから翻訳を始めて3カ月目。3週間後に締切を控えている。

「私は翻訳協力という形で、私の下訳をもとに最終的には著名な作家の方がまとめてくださることになっています。まるまる1冊すべてを訳すのは初めてなので、かえってそのほうが心強いです。下訳といっても、自由に翻訳させていただいているので、楽しさと難しさがいっぱい。昔から夢だった翻訳の仕事を、いま現在、本当にしているなんて、とても幸せです」

 田中さんの現在のお仕事はフリーライター。主に教育や健康関係の記事を取材・執筆してきた。そんな田中さんが翻訳学校に通い始めたのはいまから3年ほど前のこと。いつかは自分で本を一冊訳したい。そんな夢を持って、翻訳の勉強に励んできた。

 そして、この本との運命的な出会いが訪れる。2005年6月のこと。その2カ月前の4月に『ブックハンター養成講座』の受講を始め、原書探しに本腰を入れ始めた矢先だった。

「翻訳出版のコーディネートを手掛けるある事務所が主催する洋書展示会があったんです。まだ日本で翻訳出版されていない洋書が何百冊と並んでいて、その中から読みたいと思った洋書を2冊選べるんです。その本を借りて帰って企画書を作成すれば、プロダクション経由で出版社に企画提案してくれるというシステムでした」

 展示会で田中さんが見つけたのは、装丁も美しい1冊の女性向け自己啓発本だった。

「自分自身が興味を持って読めるものということで、女性向けの本を中心に探していました。酒井順子さんの『負け犬の遠吠え』が少し前に流行り、テレビでも20代後半から30代前半にかけての女の子が、これからの人生どう生きていくか、といったテーマのものが増えていた頃だったんです。だから、そんな内容の洋書があればいいなと何となく思っていました。この本を最初に見たとき、これが翻訳されたらどんな本になるんだろう。面白そう! ととても惹かれるものを感じたんです」

 まさに、探していたその本に出会った瞬間だった。

「『ブックハンター養成講座』を始めたばかりで、時間があると書店を巡って売れ筋の本の調査などをするように心がけていた時期だったので、それと同じ感覚で本に向き合うことができたのがよかったのかもしれません」

 さっそく家に帰って本を読み始めた。まさに、自分と同年代の女性に向けた本だったので、すんなりと本の世界に入っていけた。

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