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持込成功の秘訣
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第1回 主人公が分けてくれた幸運
企画の持ち込みから翻訳家デビューを果たした佐々木早苗
Sanae Sasaki
 12歳の少女ハイディが脳に障害を持つ母のルーツを求めてたった一人で旅をする物語。途中、困ったときはいつも“幸運が続く性質”に助けられた。なぜかはわからないけど、ハイディが小さい頃からもっている不思議な性質。お金が必要なときはスロット・マシンをすると小銭が儲かり、助けが必要になるとピッタリの人が自分を見つけてくれる……。

 「この主人公が幸運を、多分、ホントに分けてくれたんだと思います」。この本が自身の初の訳書となる翻訳者の佐々木早苗さんは、そう言って微笑んだ。

“SO B. IT”ちょっと変わった題名のこの本の原書に佐々木さんが出会ったのは、今から1年前の2005年3月のことだ。
「翻訳を勉強し始めて、もうかれこれ10年が経っていました。下訳や共訳の経験はあったけれど、自分の訳書を出すためにどうすればいいのか、まったくわからなかった。出版社に企画を持ち込むなんて、私にはできないと思っていました」

 そんな佐々木さんがやる気になったのは、新たに受講し始めた翻訳講座の授業がきっかけだった。
「リーディングの授業があったんです。原書を読んであらすじをまとめ、翻訳出版の可能性をレポートするのですが、このとき具体的に書き方のポイントを教わって、初めて自分でもできるんじゃないかって思えるようになりました」

 その後、通信講座でリーディングの方法を学び、さらに企画書の書き方をブラッシュアップ。そして、ちょうど講座が終了した頃……
「アメリアで『出版持込ステーション』が始まったんです。その時は、何てタイミングがいいんだろうって、驚きました。ダメでもともとだからやってみよう、って」

『出版持込ステーション』とは、洋書・和書の出版企画をWebサイト上に掲載し、企画者と出版社のマッチングをはかるサービスだ。
「自分で出版社を探して企画書を持ち込むなんてこと、まだ1冊の訳書もない私にはハードルが高すぎてとてもできないと思っていました。でも、『出版持込ステーション』では出版社の企画募集に合わせて原書を探し、企画書をメールで送るだけでよかったんです。“これならできる。とりあえずやってみないと何も始まらない!”って思いました」

 それから原書探しが始まった。

 この本の名前はアメリカ図書館協会の2005年ベストブックというリストの中に見つけた。変わった名前だったから気になったのだという。インターネットで情報を集めるうちにあらすじが紹介されているのを見つけたが、それを読んでも不思議な印象がより強くなっただけ。
「すぐに原書を取り寄せて読んでみました。そしたら、とても暖かいお話で……。企画書を書いてみようと思いました」
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