【アメリア】本の街
読み物
 

オルタード・カーボン アメリアWebサイト「みんなで作るインタビュー」より
 



(原書)
★この本の翻訳者、田口俊樹氏のインタビューはこちら
  「みんなで作るインタビュー 第10回


  二十七世紀。死はもはや永遠ではない。人類は銀河系の惑星に散らばり、国連の専制支配下にある。人間の心はデジタル化され、小さなメモリー・スタックに記録されて頭部のつけねに埋め込まれている。肉体が衰え死を迎えるとスタックが残る。それを維持し、外側の肉体を買う金がある人間は永遠の生命を得られる。バックアップを取っていないメモリー・スタックを破壊された人間のみがR・D(リアル・デス=真の死)を迎える。犯罪者は精神のみを収容庫に拘禁され、財力がなければ肉体は売られる。

 主人公タケシ・コヴァッチはハーランズ・ワールドという日系と東欧系の労働者が開拓した惑星で生まれ育ち、特命外交部隊「エンヴォイ・コーズ」に所属していた。高度な訓練を受け、神経システムを強化された完璧な兵士の集団だ。タケシはエンヴォイを除隊したあと、犯罪に加担して百七十年の保管刑を宣告され、ハーランズ・ワールドの収容庫に入れられていたはずだった。

  だが刑期なかばにして、彼は見知らぬ男の姿で目覚めた。タケシの心は惑星間の電送によってここに送られ、この男の体にダウンロードされていたのだ。そして、ここは人類の故郷、オールド・アース(地球)のベイ・シティという都市だった。彼をここに呼んだのは、ローレンス・バンクロフトという何百年も生き続けている大富豪だ。バンクロフトは数日前、頭部を焼かれて死んでいるところを発見された。肉体のクローンとメモリー・ スタックのコピーを所有していたのでまもなく生き返ったが、死ぬ前の二日間の記憶がなかった。状況証拠から警察は自殺と断定したが、バンクロフトは自分が自殺するはずがないと信じていた。四十八時間の空白を埋めたがっているバンクロフトは、おれの元上官レイリーン・カワハラにすすめられ、調査を依頼してきた。応じれば十万国連ドルの謝礼金と新しい肉体が手に入り、ハーランズ・ワールドへ帰還して恩赦を受けることができるという。タケシは六週間の期限つきで調査を開始した。


 良質なエンターテインメントの中に、死と生、老い、人間の本質とは何かを描いた傑作。
(05.05.06)