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   これまでにも何度か「訳文からは筋が浮かび上がってこなくてはならない」という意味のことを言ってきました。今後もスジ、スジと言い続けると思います。では、今回の筋は何だったのか。

 非常に大雑把に言えば、「測定器は使う前にきちんと調整しましょう」ということです。金属探知機という、何かを測る機械のあっちこっちをいじって、狙ったものがちゃんと測れる(探り当てられる)ようにしてから使ってね、という話です。前ページでも少し触れましたが、“you are very close to the ground balance point”となっていても、地面のどこかにそのポイントがあるわけではなく、「あともう少し微調整すれば、バランスされた状態になりますよ」ということを言っているわけです。これがまずスジ中のスジ、大筋です。 

 さらに、願わくば一読して「ははーん、これは“background noise”を除去すると言うハナシだな」と気づいていただき、それを踏まえて訳して欲しかった。“background noise”というのは、例えて言えば、コンサートの開演直前、照明が落ちてシーンとなった時を想像してください。みんな静かにしていますが、それでも「なんとなく、かすかにザワザワ」しますね?あのかすかなザワザワが“background noise”です。 

 自然界というのは、いつも「なんとなく、かすかにザワザワ」しています。土の中にはでっかい金属のお宝が埋まっているかもしれない。でも、それ以外の場所には金属がひとかけらもないのかと言えば、そうではない。土壌のミネラル成分が「なんとなく、ザワザワっと」散らばっていて、これが探知機から見れば金属と同じ反応を示す。だから、何も調整していない金属探知機で地面を探ると、このザワザワまで聞こえてしまう。 

 こんなもんにいちいち反応していてはやっとれん!というわけで、ザワザワを“ground noise”と呼び、これは無視するようにしよう。でも、思いっきりムシすると肝心のお宝までムシしてしまうので、「ギリギリのところで」無視しよう。それで、バランスを取ろうとしているわけです。これが、スジの核心部分です。 

 「測定器は、background noiseが除去されるよう調整してから使いましょう」という話は、非常によく出てきます。今回は、せめて上で述べた「大筋」が訳文から浮かび上がって欲しかった。 今回ご覧いただいた訳にはそれがあったと、私は思っています。さらにスジの「核心」まで浮かび上がらせていれば、文句なく合格を差し上げたことでしょう。他のみなさんの訳にもそれぞれに良いところはありましたが、残念ながらここがクリアされていませんでした。少なくとも訳文を見た限りでは、私はそう判断せざるを得ませんでした。

 こういったスジを掴んだ上で訳すか訳さないかは、用語の使い方や接続詞の補い方など、訳文のいたるところに現れます。今回は、課題も短く、また途中で切れているので、一読してスジが見えるように訳すのは難しいとは思います。が、やはり何とかしてそれを捉えよう、訳し出そうとしてください。なぜなら、それこそが原文を書いた人が伝えたかったことであり、それを伝えるのが私たちの仕事だからです。
 
 
     
   今回ご応募いただいた方みなさん全員に、心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました。みなさんの答案すべてはご紹介できませんでしたが、原稿を書くときに何度も参考にさせていただきました。是非またご応募ください。お待ちしています。  
     
   採点の現場にみなさんをお連れした連載第5回、いかがでしたか?「英語の話があまり出てこなかったな」と思われた方、あなたはスルドイ!でも、これが伝・近藤の現場なんです。それでは、また!  
 
     
 
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