【アメリア】Flavor of the Month 103 遠藤 康子さん
読み物
Flavor of the Month
<第103回>  全5ページ
出版翻訳はマラソン!? 自分なりの翻訳スタイルを目指して

濱野 :お子さんは、現在は何歳ですか?

遠藤 :上が高校生、下が中学生です。もうだいぶ手が離れたので、これからはさらに本格的に翻訳の仕事を増やしていきたいと考えています。子供が小さいうちに助走を始めておいて、少しずつ実績を積み重ねていくというのが計画だったので、いまのところ、ある程度は計画通りに進んでいると言えるかもしれません。いずれ子供が巣立ったら、家で翻訳だけに没頭する生活を送るのが理想ですね。

濱野 :「助走」という言葉が出ましたが、遠藤さんのアメリアのプロフィールを拝見していて、翻訳をマラソンに例えているのがとても印象的でした。

遠藤 :ほんとうは極度の運動音痴で、マラソンなんて走ったこともないのですが(笑)。でも、私のなかの印象や考え方を言葉にすると、自然とそうなったんです。インターネットのニュース翻訳は筋トレ、実務翻訳は短距離の100メートルから中距離の1万メートル走、リーディングはハーフマラソン、丸1冊を手がける出版翻訳はマラソン。そして、すべてに必要となる「調査」は基礎体力づくり。

濱野 :わかりやすい! どの分野を目指すか迷っている方には、よい指針にもなるかもしれませんね。それに実際、翻訳には「体力」や「持久力」も求められる。

遠藤 :そうですね。英語を読み取る力と日本語力が必要なのは言うまでもありませんが、さらには想像力、体力なども求められると思います。ニュース翻訳ではそのときどきの出来事や事件を扱うので、脳の瞬発力と柔軟性も欠かせません。

濱野 :マラソンのあいだに「筋トレ」をしたり、「短距離走」を走ったりするのは、タイムマネジメントがたいへんだと思いますが、今後は出版か実務のどちらかに専念したいという気持ちはお持ちですか?

遠藤 :もともと本が好きで翻訳を始めたので、出版の仕事を増やしていきたいという気持ちはあります。ただ、いまはいただける仕事を一つひとつ丁寧にやり遂げていくことが未来につながると信じています。それに、どんなジャンルのお仕事であっても、勉強させてもらっている気持ちが強いんです。たとえばニュース翻訳では、普段は進んで読まないような内容の記事を担当することも多々あり、そこから新たな知識が広がり、さらに語彙力もアップする。私としては、取り組み方の異なる翻訳を手がけることで、偏りのないバランスの取れた翻訳者を目指せたらいいなと考えています。

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