実務翻訳と出版翻訳の両立。在宅翻訳者の金成さん Flavor
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<第105回>  全5ページ
通信講座で築いた人脈から仕事を開拓 自らの持ち込み企画が採用に

濱野 :出版と実務の仕事の進め方で、何か決定的なちがいはありますか?

金成 :私のなかでは、出版も実務もあまり区別はないんです。実務分野でも、私が主に依頼を受けるのは一般的なビジネス文書が多いので、高度な専門技術やPCツールは必要ありません。強いて違いを挙げるとすれば、やはり取り組む期間の長さでしょうね。出版は翻訳期間が数カ月に及ぶことが多いので、実務の案件をあいだに挟むこともあります。その場合でも、少しでもいいので出版翻訳には毎日取り組むように心がけています。長い作品はやはり流れが大切ですし、あいだが空くと作風や登場人物の口調などを忘れてしまうことがあるので。

濱野 :なるほど。取り組む期間の長い出版翻訳ならではの悩みですね。ところで、金成さんの訳書のラインナップはとても個性的ですよね。飛び出す絵本、図鑑、写真集、辞書、音楽関連の指南書などなど。

金成 :スポーツ、音楽、美術、百科全書的な雑学などは私の得意分野なんです。編集者の方々にアピールしていたら、いつのまにかその方面の依頼ばかりいただくようになりました。とてもありがたい話です。

濱野 :得意分野がはっきりしていると、編集者の方もお仕事を頼みやすいですよね。好きな分野の本を発掘して、ご自身で企画を持ち込むこともあるのでしょうか?

金成 :じつは今度、私が出版社に持ち込んだ本が発売されることになったんです。

濱野 :それはおめでとうございます。

金成 :自分の企画が実現すると、やはり勇気が湧いてきますね。普段から、絵本、図鑑、写真集などの企画をいろいろ温めているので、今後も自分からどんどんアピールしていきたいと思います。

濱野 :出版の世界は厳しいと聞きますので、自ら企画を発信できるのは強みになりますね。ところで、出版分野での翻訳者デビューのきっかけはなんだったのでしょうか?

金成 :いろいろと勉強はしていたのですが、いちばんのターニングポイントになったのは、会社員時代に受講したフェロー・アカデミーの通信講座マスターコース「ノンフィクション」です。修了後、講師の夏目大先生からアメリアのクラウン会員に推薦していただき、応募できる案件が一気に増えました。さらに、夏目先生やその生徒さんたちとつながりができて、編集プロダクションなどを紹介してもらったんです。その流れで、デビュー作になった『特製折り紙付き 世界の紙飛行機』(2009年刊、武田ランダムハウスジャパン)の翻訳依頼を受けました。

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