実務翻訳と出版翻訳の両立。在宅翻訳者の金成さん Flavor
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<第105回>  全5ページ
実務翻訳では、環境や原子力関連もカバー 翻訳に興味を持ったきっかけは谷川俊太郎!?

濱野 :プロフィールを拝見したところ、実務翻訳もかなり幅広いジャンルで仕事を受注されていますね。

金成 :メインでお世話になっている翻訳会社3社には「ビジネス一般」として分野を登録しているのですが、依頼される案件は多種多様です。プレゼン資料、契約書、記事、ガイドブック、プレスリリース……。

濱野 :ほかにも、環境、エネルギー、原子力などの分野の案件も引き受けていらっしゃる。

金成 :そちらのほうは、建設コンサルタント会社時代に社内翻訳で携わった分野ですね。

濱野 :では、実務翻訳のほうは、会社時代の社内翻訳でスキルを磨き、フリーになったあとに翻訳会社のトライアルを受けて仕事を始められたのでしょうか?

金成 :いえ、じつは実務翻訳のほうも、会社勤めのあいだに受けた通信講座が仕事受注のきっかけだったんです。講座修了後にある翻訳会社に「下訳者」として登録してもらい、会社在籍中の2008年ごろから下訳の仕事を始め、2010年に「翻訳者」として正式に登録になりました。その翌年に会社を辞め、ほかの翻訳会社のトライアルも受けて何社か登録して……という流れですね。

濱野 :出版も実務も通信講座を通して、退社前にフリーへの道はがっちりと固めていたというわけですね。翻訳の道を目指したのはいつごろですか? コンサルタント会社で翻訳に触れてからでしょうか? それとも、もっと前に何かきっかけが?

金成 :小・中学生のころから、すでに「翻訳」は意識していました。山室静が訳した「ムーミン」シリーズ、谷川俊太郎訳の「ピーナッツ」(スヌーピー)などを読んだときに、「翻訳という仕事があるんだ」と知ったんです。いまでもよく覚えているのは、谷川俊太郎が「I knew it」を「やっぱりね」と訳したところですね。「英語ってこういうふうに訳すと自然な日本語になるんだ」と子供心に感銘を受けた記憶があります。

濱野 :小・中学生のころから翻訳を意識していたとは……。では、英語はもうお得意だったのでしょうか? 帰国子女だったとか?

金成 :いえいえ、自分でも不思議ですが、英語を専門的に勉強したことは一度もありません。それでも、なぜかずっと「翻訳」への憧れがありました。高校生になると、当時、翻訳界で大家と呼ばれていた河野一郎、別宮貞徳、安西徹雄といった先生方の本を読み漁っていました。

濱野 :そんなに若いころから翻訳に興味が向くというのは、きっと運命だったんでしょうね。社会人になったあとも、ずっと夢を追いかけて翻訳家に?

金成 :いえ……じつはお恥ずかしい話なんですが、塾講師になってからの10年間はとても忙しくて、翻訳のことはすっかり忘れていたんですよ。そのあいだは、翻訳者になりたいなんて一度も考えませんでした(笑)。

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