実務翻訳と出版翻訳の両立。在宅翻訳者の金成さん Flavor
読み物
Flavor of the Month
<第105回>  全5ページ
空白の10年を経て、再び夢を追うことに 翻訳者、ダンサー、俳人の道へ

濱野 :お忙しいとはいえ、翻訳者になる夢を「すっかり忘れていた」という方は初めてです(笑)。

金成 :自分でもびっくりですよ(笑)。じつは、忘れていたのはそれだけじゃないんです。大学生のころには、夢が3つありました―翻訳者、ミュージカル俳優、文学者。

濱野 :なるほど、それが現在のバレエと俳句につながるわけですね。

金成 :そうなんです。もともとミュージカル映画や舞台が好きで、大学の英語劇のオーディションに合格してミュージカルに出たこともありました。ただ、当時の日本では、ミュージカルで食べていくというのはむずかしかった。それに本当のところは、バレエを本格的にやりたかったんです。でも、20歳ではもう遅すぎでした。

濱野 :それで最近になって、翻訳者だけではなく、ミュージカル俳優と文学者の夢も追うように?

金成 :はい。そのあいだに世の中も変わって、いまでは大人向けのバレエ教室も珍しくありません。もしかしたらこの歳からでも始められるかもしれない、といつしか考えるようになったんです。在宅で仕事を始めてからは時間の融通もきくようになったので、2年前くらいから本格的なレッスンを始めて、いまは週3〜4回は通っています。

濱野 :何歳からでも夢を追いかけて新しい挑戦を始める―とても素敵なことだと思います。「文学者」の夢のほうは、俳句ですね?

金成 :ええ。本当は長い文章を書く文学者になりたかったのですが、自分には向かないと思ってあきらめていました。そんなときに偶然、高校時代からの古い友人が俳句を薦めてくれたんです。短い文章であればできるかもしれないと思って始めたら、すぐにハマってしまいました。もう4年ほど続けています。

濱野 :俳句の活動としては、何をなさっているのでしょうか?

金成 :指導者や仲間が集まる「結社」の句会に参加して、自分の句を発表するというのが基本的な活動です。私は複数の結社にお世話になっているので、月4〜5回ほど句会に参加しています。

濱野 :実務と出版翻訳を毎日、バレエを週3〜4回、句会に月4〜5回……それを、すべて「仕事」として本格的に取り組んでいらっしゃる。驚異のタイムマネジメント能力ですね。

金成 :ときどき、頭のなかが混乱しますけどね(笑)。

前へ トップへ 次へ