在宅フリーランスの翻訳者としてご活躍の坂本真理さん。 Flavor
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Flavor of the Month
<第116回>  全5ページ
「今回はよくできた!」と思う、その瞬間が楽しい。 ドキュメントを理解して、英語で論理を再構築する作業が面白くてたまらない。

高橋 :今は、日英翻訳のお仕事の割合が増えているそうですね。

坂本 :グローバル化が進む中で、大学や研究機関では海外の研究者や学生に向けてアピールをする英訳のお仕事が増えている印象です。大学がウェブサイトで発信するミッション、ポリシー、学長メッセージなどは、強いメッセージ性と魅力的な文章が必要なので、面白さを感じます。論文のお仕事もほぼ100%英訳で、工学、医学分野が特に多いです。また民間分野でも、販路拡大や海外進出を進めることが当たり前となっている中で、従来は日本語のみで作成していた国内の業界内ガイドラインなども英語版を作成する事案が増えているようです。最初は英訳自体を断ろうとした私に依頼がくるくらいですから、需要に対して引き受ける方が少ないのかもしれません。日英翻訳は、母国語以外で文章を書くことはもちろん、日本語をそのまま英語にできる事案は少なく、またネイティブチェッカーに原文の意味を説明しなければならなかったりして大変です。また、今の仕事では最終的なゴーサインを出すのが私なので責任重大です。でも、私はそこにやりがいを感じているので、あの時英訳をお引き受けして本当によかったなと思っています。

高橋 :学術系の翻訳のお仕事をされている方に伺ったことがあるのですが、とても優秀な研究者でも、文章がお上手とは限らないとか。そんな経験はおありでしょうか?

坂本 :はい、思わず「主語はどこ?」と突っ込みたくなることもありますね(笑)。論理的な思考をお持ちの優れた研究者の方でも、書かれる日本語の文章は非常に「日本語的」で、英語にしにくい、ということがあります。こうした場合、英訳するためには一度日本語をばらして再構築する作業が必要で大変なのですが、私はそこが面白くて英訳のお仕事をしているのかなあと。「今回はよくできた!」と思うときがあって、自己満足だとは思いますが、仕事をしていて一番嬉しいときです。

高橋 :フリーランスで翻訳を続けるためには、最後まで投げ出さない、学ぶ気持ちで仕事をする姿勢が大切ですよね。

坂本 :そうですね。仕事を広げるために、毎回のお仕事で心がけているのは、とにかく手を抜かないことです。手を抜いた仕事は一目で分かりますし、お金を払って依頼した仕事でお客様を失望させてしまうことがないよう、そこは常に意識しています。そして毎回、納期の範囲内で、お客様の期待を上回る仕事をしようと思っています。同様の案件では次回必ず指名をもらおうと思って仕事をすると、次回の指名のみならず、同じ分野のお客様をご紹介いただけたりして、お仕事が広がりますし、何より自分自身が常にモチベーションを高く仕事をすることができると思います。

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