絵本の翻訳者としてご活躍の小寺敦子さん。 Flavor
読み物
Flavor of the Month
<第117回>  全5ページ
子育て中に積み重ねた 読み聞かせの経験

池守 :子育てでお忙しい時期は、完全に翻訳から離れていたのですか?

小寺 :いえ。その間もアメリアには入会していましたので、英語力や翻訳力を落とさないために時々「定例トライアル」に応募したり、年に一度は「いたばし国際絵本翻訳大賞」に応募したりと、細々とではありますが翻訳には触れていました。ただ、子どもが歩けるようになった頃から、私設の「ゆりがおか児童図書館」に通い始めまして、そこで作家や翻訳家を招いた講座や、絵本の勉強会に参加するうちに、ボランティアとして運営のお手伝いもするようになっていきました。

池守 :私設の図書館というのがあったのですね。

小寺 :はい。創設した方が持っていた土地に建てた子どものための図書館です。自宅から自転車で20分、2人の息子と通いつめました。通っているうちに、だんだんと図書館の機関紙に本の紹介記事を書いたり、「おはなし会」で読み聞かせをしたりするようになりました。(児童図書館はその後2012年に閉館、蔵書の一部は「白山こども図書館ほんの森」に引きつがれる)また、子どもたちが通った幼稚園には読み聞かせサークルがあり、その活動にも熱中しました。そのまま小学校でも、図書ボランティアや読み聞かせを続けました。

池守 :読み聞かせの経験は、児童書の翻訳をするときに役立ちそうですね。リズム感とか、ことば選びなど、体感できますよね。

小寺 :はい。今思えば、とても勉強になったと思います。うちでも息子たちの成長と共に赤ちゃん絵本から幼年童話、世界各国の昔話、児童文学の名作まで、10年以上毎日読み聞かせをしていましたので、児童書のリズム感や語感など、何かしら蓄積されたものはあるのかな、と思っています。その他にも、幼稚園では広報部員になって1年間、お弁当持参で園に通い広報の記事を書いていましたし、小学校ではPTAの書記を2年間務めたのですが、会議の議事録をまとめるなど文章を書く機会がたくさんあったので、この時期は自分にとって貴重な文章修業の期間になったと思います。

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