在宅フリーランスの広報分野の翻訳者、小島祐子さん Flavor
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<第123回>  全4ページ
発想の切り替えで猛勉強

加賀山 :翻訳の勉強はいつごろからされましたか?

小島 :会社員時代には海外広報のチームにいましたので、プレスリリースやIR(インベスター・リレーションズ。投資家向けの情報発信)資料などの英語版を作成したり、海外メディア対応をしたりと、日々の仕事のなかで英語を使っていましたが、とくに翻訳そのものを勉強したことはありませんでした。
 退社後に翻訳者を志し、通訳・翻訳者の養成学校に入ろうとして試験を受けたところ、英語力が基準に足りないため入学できずショックを受けたんです。

加賀山 :そんなことが……。

小島 :でも、逆にそれで頭が切り替わりました。2人の子供は当時2歳と2カ月だったのですが、その世話と家事だけでかなり忙しく、もし養成学校に入っていたら、通学と課題提出だけで手いっぱいになって、充分勉強した気になっていたかもしれません。
 語学を伸ばすにはある程度の学習量が必要だと思いますが、小さな子供がいると座ってゆっくり勉強する時間なんかほとんど確保できませんし、座学を強行したところで子供に邪魔されてイライラしてしまい、頭にもほとんど入らないでしょう。そこで、英語をじっくり勉強するという考えは基本的に捨てました。

加賀山 :それは大胆な決断ですね。

小島 :子供の世話や家事の合間を縫って勉強するのではなく、それらも含めた毎日を英語漬けにしてしまおう、日常を英語にしてしまおう、という発想の転換でした。家事をしながら、スマホからNHK Worldなどを流しっぱなしにして、聞くだけでなく、できるときにはつねにシャドーイングもして、すべて「ながら」勉強にしました。そうすると、その間に子供に声をかけられてもイライラしないんですね、邪魔されることを前提にやってますし、「ながら」ですので100%の力で勉強をしているわけではないから。英語に集中する時間をもらえたらラッキーくらいで行いました。しかし、塵も積もればで、結果的に英語に触れている時間はけっこうな長さになっていたと思います。そして、子供が寝たらすぐに、1日1本、英文記事を丸暗記します。
 最初はたいへんでしたが、英語の「型」が身についてくるので、そのうち憶えるのも苦ではなくなりました。憶えた単語やフレーズは、その後オンラインの英会話教室で実際に先生を相手に使って、フィードバックを得ながら自分のものにしました。

加賀山 :ものすごい努力ですね。成果が現れはじめたと感じたのはいつごろですか?

小島 :3ヵ月後ぐらいでしょうか。自分のライフスタイルと弱点に合わせて独自に組み立てた勉強方法なので、効果があるのか不安だったため、試しに英検を久しぶりに受けてみたところ、準1級がすんなり通って、この方法ならいけるかもしれないとある程度自信がつきました。約1年後に翻訳の検定試験に合格してからはトライアルも通るようになり、翻訳者として登録いただけるようになりました。

 
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