字幕も吹替えも。在宅フリーランスの映像翻訳者、高井清子さん Flavor
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Flavor of the Month
<第125回>  全5ページ
能や狂言の字幕も手がける

加賀山 :作品ひとつにつき、どのくらい時間がかかるのですか?

高井 :映画もDVDも1週間から10日くらいです。1日でできる分量はせいぜい10分とか15分。出版翻訳などと比べると、ひとつの仕事が短いので、新鮮な気持ちで取り組めるかもしれません。

加賀山 :報酬は買い取り方式ですか?

高井 :ベテランになると、映画がDVDになるときやテレビ放送されるときに二次使用料をもらえるかもしれませんが、私がやっているような作品はほとんど、二次使用料を含む一括払いです。

加賀山 :支払いの単位は10分と聞いたことがありますが。

高井 :昔は10分単位でしたが、いまは分単位も増えてきました。22分の映像であれば、昔なら30分もらえていたところ、いまは22分ちょうどの料金になります。ただ、映画ではいまも10分単位が主流だと思いますが。

加賀山 :条件が厳しくなったということですか。出版翻訳では、自分でおもしろそうな本を見つけて出版社に持ちこむことがありますが、映像にはないのでしょうか。

高井 :脚本のなかにも、仕事を忘れて思わず引きこまれるものはあるのですが、たとえば自主制作のいい作品を掘り起こして売りこむのは、むずかしいかもしれません。映画祭に出品されるものも、テーマとしてはおもしろくても商売ベースに乗せられそうなものは少なかったり。逆に大手の作品になると、配信ルートがすでに確立していて、立ち入る余地がありません。

加賀山 :英日だけでなく、日英の翻訳もされていますね。

高井 :初期のころ、邦画の英語字幕をつけているかたの手伝いをしたことがあって、そのうち自分でも邦画の字幕や、能・狂言の字幕などをつけるようになりました。英訳の場合にはかならずネイティブのかたにチェックしてもらいます。
 能・狂言の仕事は、日本語の古語から現代語に訳し直したものを元に、英語に訳していきました。ゆっくりしたペースで表示される字幕ですし、おもしろいもので、英語にしたほうが内容がわかりやすいこともありますよ。

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