【アメリア】Flavor of the Month 13 瀧口香織さん
読み物
Flavor of the Month
<第13回>   全4ページ


目標は“80歳で現役” それが可能なのが翻訳の世界です

坂田:翻訳を勉強中の方でも、特許翻訳というと分野が特別で、あまり詳しく知らない方も多いのではないかと思うのですが、業界について少し教えていただけますか?

瀧口
:翻訳ですから英語力、日本語力が必要とされるのは当然のこととして、それ以外に2つ重要なことがあると思います。ひとつは法律文書であるということ。特許申請のために提出される契約文書ですから、それ特有の約束事がたくさんあります。それを理解していないとトライアル突破は難しいでしょう。それから、これがいちばん重要だと思うのですが、そこに書かれている技術がわからないと翻訳ができないんです。本来、特許明細書というのは、全くの素人が読んでも理解できるように書かなければならないものなのですが、開発者はその分野において基本的だと思われる内容は、省略してしまいがちなんですね。私は大学で専攻した化学が専門ですので、それ以外の分野の特許を翻訳するときは調べものが多くなり、時間がかかってしまいます。ですから、文系だからダメではないのですが、理系よりは厳しいというのが現状ですね。でも、このところ特許の出願は増えていますし、分野としてなくなることはないでしょうから、安定はしていると思います。ただ、その分、何十年もやっているという人もざらにいる。70歳を過ぎて現役という方もいらっしゃるんですよ。

坂田:それは心強いですね。それだけ長く続けられる仕事だということですから。

瀧口:そうですね。私も80歳ぐらいまでやりたいなって思っています。翻訳をしていたら惚けないだろうなって(笑)。今は先輩方からいろいろと教えていただくことばかりなので、あと10年、20年経ったら、今度は私が若い人にいろいろと教えてあげられればいいですね。

坂田:研究職から翻訳家に転職を果たして、正解だったと思いますか?

瀧口:はい。翻訳は私の天職だと思っています。翻訳はすごく面白いし、ゴールがないというか、どんどん勉強しなければならないところがいいですね。いま、自分がもっているものだけで、あと何十年も生きていくのはつまらない。まだまだ自分には足りないものがあって、やればやるほどそれが見えてきて、勉強をして、新しい知識を吸収していく。何年経ってもきっと「まだまだだな」って思える面白さがあるんじゃないかと感じています。

坂田:さし当たっての目標はありますか?

瀧口:今、仕事は和訳が中心なんですが、英訳ができるようになりたいんですね。理系出身者が大半ですから、英語は得意じゃない人も多いようで、英訳の仕事の方が量も多いし、レートも高いんです。今、フェローで勉強していますので、仕事でも少しずつ増やしていきたいと思っています。

坂田:今日は長い時間どうもありがとうございました。私にとって、特許翻訳の世界は未知の分野だったので、興味深い話を聞かせていただけて、とても楽しかったです。



 すばやい判断力で転職を成功させ、そのたびに確実に自分のスキルアップにつなげてきた瀧口さん。見習うべきところがいっぱいです! それから、私も特許庁のホームページをのぞいてみましたが、なかなか面白いと思う反面、難しい技術になると日本語を読んでもちんぷんかんぷん。特許翻訳は向いていないのかも知しれません。トホホ……


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