【アメリア】Flavor of the Month 27 井ノ迫 純子さん
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Flavor of the Month
<第27回>  全5ページ


最初に受けたトライアルに合格!

坂田:最初は教養として、という軽い気持ちだったんですよね。いつ頃から仕事にしたいと思い始めたんですか?

井ノ迫:それが、自分でもよくわからないんです。授業を受けていくうちに、いつの間にか……。何かしら一生できる仕事をと思っていたのかもしれません。

坂田:授業が楽しいから頑張る、辞めたくないから頑張る、その過程で自然にそういう気持ちになっていった?

井ノ迫:そうですね、まさに自然にですね。ここまできたら、やらないと無駄になる、という気持ちもありました。その時点で、かなりお金もかかっていたので(笑)。

坂田:基礎を学び、実践も身に付け、次にどうしましたか?

井ノ迫:まだ、クラスを受講中で、勉強中の身だったんですが、映画祭の字幕のトライアルがあり、それを受けてみることにしました。毎年行われている、いわば新人の登竜門という感じのトライアルだったんですが、私としては生まれて初めてのトライアルで、一度体験してみたいという思いで受けました。

坂田:トライアルにいつか合格するための第一歩という感じですか?

井ノ迫:そうですね。ところが受かってしまったんです。50人受けて合格者は5人でした。

坂田:受けた時に、合格の手応えはありましたか?

井ノ迫:いいえ。自分としては、その頃まだ、うまく訳せるようになったとか、成長したという実感は、まったくありませんでしたので。ただ、クラスで時々私の訳が訳例として配られるようなことがあったり、一度、先生に褒められたりもして、少しは進歩したのかなと思うこともありました。でも、実践クラスにはネイティブ並に聞き取れる方や、通訳の仕事をなさっている方もいましたので、私はというと毎回ズル休みを考えるくらい劣等感でいっぱいだったんです。ですので、トライアルを受けた時の感想も「いい経験だったぞ」くらいで……。

坂田:では、トライアルに合格したときの気持ちは?

井ノ迫:嬉しいというよりも、えー? 私? という感じでした。作品は10分ほどの短いものでしたが、スクリーンに自分の名前が出た時は感動しました。

坂田:それが、いちばん最初の字幕翻訳のお仕事ですね。

井ノ迫:そうです。この仕事をきっかけに、翻訳学校の紹介で少しずつお仕事をいただくようになりました。

坂田:その後はどのような仕事をなさっているのですか?

井ノ迫:CS系のドキュメンタリー番組のナレーションやボイスオーバーが多いですね。仕事は波があるもののわりとコンスタントに続いていて、最初の1年は気が付いたら時が過ぎていたという感じでした。今は仕事を始めて3年目になります。

坂田:実際に仕事をしてみて、いかがですか?

井ノ迫:字幕翻訳を目指していたはずが、なぜか気が付くと吹き替えやボイスオーバー、ナレーションの仕事が多くなってしまいました。当初の希望とは違うのですが、もしかしたら私は字幕よりもナレーションの翻訳の方が向いているのかもしれない、と思ったりもします。

坂田:間口は広く、いろいろな分野にチャレンジしてみるのは良いことですよね。

井ノ迫:そうですね。今の仕事を続けながら、いずれは映画の仕事もできるようになればいいなと思っています。

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