【アメリア】Flavor of the Month 28 李 芳さん
読み物
Flavor of the Month
<第28回>  全6ページ


日本の企業に勤め、 翻訳と通訳の面白さに気づきました


坂田:日本語学校も合わせて、合計5年半、日本で勉強して、卒業後はどうしましたか?


:テムジンという日本の会社に入りました。NHKの下請けのテレビ制作会社で、中国のドキュメンタリー番組制作に強い会社でした。大学の時に、その会社が字幕翻訳のアルバイトを募集していたんです。私がそれに応募して、よく手伝いに行っていました。

坂田:そのアルバイトを選んだのは、字幕翻訳に興味があったからですか?

:いいえ、そういうわけではありません。アルバイトを探していて、たまたまそれが字幕だっただけです。卒業前に、テムジンの社長さんに、そのまま社員として働かないかと言われて、私も仕事を探していたので、入社することになりました。

坂田:その会社では、どんな仕事をしましたか?

:字幕の翻訳、テレビ番組を作るときの資料の翻訳、ビザの申請や、現地取材の通訳もしました。

坂田:大学で勉強しているときは、翻訳や通訳をしようと考えていましたか?

:あまり考えていませんでした。テレビ制作会社に入ったら、たまたま仕事が翻訳や通訳だったという感じです。でも、この仕事は苦ではありませんでした。字幕の翻訳は、最初はちょっと辛かったけど……。

坂田:どういうところが?

:訳しながら、同時にテレビの操作をしないといけないでしょう。目と手を同時に使わなければならないんです。セリフは聞き取れたけど、タイムコードを見るのを忘れて、また巻き戻して……。最初は、ものすごく時間がかかりました。今はほとんど同時にできるようになりましたが。通訳は、前に旅行社に勤めていた時にやっていたので、問題ありませんでした。コミュニケーションの架け橋として役に立てると、やっぱりうれしいですね。

坂田:では、会社の仕事は楽しかったのですね。

:翻訳や通訳の仕事は楽しかったです。苦労をしたのは、定期的に番組の企画のネタを探さなければならなかったこと。それが一番苦手でした。でも、テレビの制作会社なので、本当は翻訳よりも企画のほうがメインの仕事。なのに、そちらにはあまり興味が持てませんでした。その後、私の都合で中国の現地通訳にも行けなくなって、会社にとってあまり役に立たない存在になってしまったので、結局、3年間ほど勤めたところで、辞めることにしました。
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