【アメリア】Flavor of the Month 29 寺田 涼子さん
情報・コラム
Flavor of the Month
<第29回>  全4ページ

寺田 涼子さん
第29回

本物の英語文化に触れたいとカナダに住んで10年。新しいことに次々とチャレンジ!
    寺田 涼子さん
Ryouko Terada

OLから映像翻訳家に 忙しいけれど充実した日々


坂田:今月のゲストは、現在、移民としてカナダにお住まいの寺田涼子さんです。日本に一時帰国中ということで、翻訳会館までお越しいただきました。寺田さん、よろしくお願いします。

寺田:よろしくお願いします。

坂田:カナダはどのあたりにお住まいですか?

寺田:バンクーバーです。向こうに移住して、もう8年になります。

坂田:そうですか。カナダでは翻訳のお仕事をなさっているのですか?

寺田:はい。他にもいろいろなことをしているのですが、翻訳の仕事もしています。

坂田:他にもいろいろ……、なんでしょう? そのお話は後ほどお伺いすることとして、まずは翻訳のお仕事についてお話を聞かせてください。

寺田:はい。翻訳の話となると、今から20年前のことになります。あっ、歳がバレてしまいますね(笑)。もともと洋画が大好きで、だから自然と英語も好きになったんです。まあ、"英語が好き"と"英語ができる"は違うのですが、好きが高じてアメリカに1人旅をしたり、留学経験はありませんが日本で英会話学校にも通ったりしていたので、日常会話程度の語学力はあったと思います。当時は会社に勤めて事務の仕事をしていましたが、その仕事に物足りなさを感じていたこともあって、映像翻訳をしてみたいと思うようになりました。いつもは観ている側ですが、洋画のセリフを訳すということを自分でもしてみたくなったのです。それでフェロー・アカデミーの映像翻訳のクラスに通い始めました。

坂田:会社に勤めながら週1回の映像翻訳クラスに通ったということですね。

寺田:そうです。映像翻訳家の矢田尚先生のクラスでした。確か、3年ほど通ったと思います。勉強を始めた当初は、「戸田奈津子さんみたいになりたい!」などという大それた考えはなかったのですが、3年勉強して矢田先生のご紹介で映像翻訳のトライアルを受けたら、無事に合格できたんです。そうして、フリーランスの映像翻訳者としてめでたくデビューを果たしたというわけです。

坂田:そうですか。どのような翻訳をなさっていたのですか?

寺田:ドキュメンタリー番組やニュース番組が多かったですね。当然のことですが、フリーなので、いつも仕事があって常に忙しいというわけではありませんでした。仕事は来たり来なかったり。来るときは一度にいくつも仕事が重なって、ようやく終わったと思ったら、次の仕事がなかなか来なかったり……。超急ぎの仕事も経験しました。15年以上前ですから宅配便も今ほど発達していません。成田空港から届いたビデオを、翻訳会社の人がすぐに届けてくれて、私は自宅の最寄り駅でビデオを受け取って、通常は1週間ぐらいでする分量の翻訳を、それから3日間で仕上げるという仕事もありました。

坂田:厳しいですね。

寺田:はい。3日間、ほぼ徹夜状態でしたね。

坂田:憧れの映像翻訳者になれたわけですが、現実は想像とは違っていたというところでしょうか。

寺田:でも、自分が目指した仕事に就けたわけですから、めちゃくちゃ充実感がありました。忙しいのは駆け出しだから仕方がないと思っていましたし。私が翻訳を教わっていた矢田先生は、よくこんなことをおっしゃっていたんです。翻訳というのは終わりがない。もちろんトレーニングの時期は必要だけど、ここまで訓練したからもういいということがない。どんなに翻訳の仕事を続けても、知らない単語は当然あるし、文化が違うから壁もある。だから、仕事を始めて、お金をいただきながら勉強を続けるのが一番だと。文芸翻訳の場合には下訳というステップもありますが、映像翻訳の場合は下訳がないので、仕事をしながら勉強、ということにもなるわけです。だから、当時の私も、翻訳料をいただけるだけでありがたかったですね。まだまだ一人前ではないけど、プロとして一応やっている、その満足感というか、充実感がありました。
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