【アメリア】Flavor of the Month 32 吉池幹太さん
読み物
Flavor of the Month
<第32回>  全4ページ


訳詞の講座を受講したら アメリアのノミネ会員に


宮田:ところで、フェロー・アカデミーで翻訳の勉強をはじめてから、どれくらい経つんですか?

吉池
:教員生活の2年目からだから、かれこれ10年ぐらいになるかな。最初に実践クラスを1年とって、それから飛田野裕子先生のゼミに上がりました。飛田野先生を選んだのは、先生の訳書にいちばん興味を覚えたから。『ツインピークス』を訳していたし、スティーブン・キングもやってたから、自分がなじみのある分野にいちばん近いかなと思って。

宮田:かなり前から翻訳の勉強をしているのに、アメリア会員になったのはつい最近なんですよね。入会したきっかけは?

吉池:フェローの通信講座のマスターコースで泉山真奈美先生の訳詞の講座を受講したら、アメリアのノミネ会員に推薦されたんです。泉山先生はブラックカルチャーやヒップホップ文化に造詣が深くて、ロック系の雑誌『ロッキング・オン(rockin' on)』などに記事を書いています。『ロッキング・オン』なんかを読んで、以前からファンだったから、あの泉山先生の講座があるというので受講しました。

宮田:実際に受講した感想は?

吉池:すごく楽しかった。訳詞だったから、小説と違って自由度がすごく高かったんです。小説では許されないような意訳も許されたし、それを評価してもらえたのも嬉しかった。

宮田:講座では、どんなジャンルの訳詞をやりましたか?

吉池:ぜんぶブラック系の音楽でした。最後のほうはヒップホップだったから、スラングが多くて、それをどう解釈するかが大変でしたね。知り合いのネイティブに歌詞を見せても、ぜんぜん意味がわからない。だから、地道にスラング辞典を買ってきたり、インターネットで文化的な背景を調べたりして、必死に考えるしかなかったですね。まあ、ぼく自身はふだんからヒップホップを聴いてるから、ある程度の単語の意味とかはわかったんだけど。

宮田:日ごろから自分が聴いている曲の訳詞にもよく目を通します?

吉池:いや、輸入盤を買うことが多いから、訳詞はあんまり見たことないね。でもほら、ぼくは昔のロック少年なんで、歌詞には真剣に目を通してました。アルバムを買ったら、歌詞を見ながらずっと曲を聴いていたし。


宮田:そんなにまじめに聴いてたんですか?

吉池:もう毎回、真剣勝負です。ぼくの場合、適当な聴き方はしないで、歌詞をじっと読みながら聴く。中学生のときにロックに目覚めたのも、ビートルズにせよ、ストーンズにせよ、まずは曲よりも歌詞に興味を持ったからだし。だから今でも、音中心で歌詞がしょうもない曲には興味がもてません。

宮田:それで、泉山先生からの評価はどうでした?

吉池:最初のうち、小説的にきっちりと訳してたら、歌詞に広がりがないということでB評価。で、思い切って自由に訳すようになったら、評価も上がってAとかA+とかをもらえるようになりました。

宮田:さすがに詩を書くのは十八番ですね。訳詞って、どうすれば仕事をもらえるようになるんでしょう?

吉池:先生いわく、持ち込みが一番いいんじゃないかと。自分で歌詞を訳して、レコード会社に持ち込めっていうんです。ふつうの本を出版社に持ち込むよりも、訳詞のほうが可能性が高いんじゃないかと。だから、これからはそっちのほうでもがんばってみようかと思ってます。
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