【アメリア】Flavor of the Month 44 藤原あゆみさん
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Flavor of the Month
<第44回>  全6ページ


ふとしたきっかけで翻訳の快感に目覚める

坂田:翻訳についてお尋ねします。翻訳に興味を持たれたのはいつで、どのようなキッカケですか?

藤原:子どもが生まれたので仕事を辞めて専業主婦になろうかとも考えたのですが、やはりずっと仕事をしてきた人間ですからどうも座りが悪い。それに今住んでいるところが、駐在時代に貯めたお金で建てた家なのですが、海外から帰国した時に安らげる立地を! などと考えて私の実家から車で40分くらい山に入った鹿やイノシシが降りてくるような風光明媚(!?)な田舎に念願のログハウスを建てたもので、仕事らしい仕事もない環境なんです。しかも子供もまだ小さくて手が掛かるし……。何か家にいて出来ることはないかな、と考えていた時に、友人から翻訳はどうかとアドバイスを受けました。さっそくインターネットで調べてみたら"中国語翻訳者募集"というのが思った以上にありまして、応募してみたら意外にすんなり登録していただくことができたんです。

坂田:翻訳者を目指していたというよりは、結果として翻訳の仕事にたどりついた、という感じでしょうか。

藤原:はい。ただ、翻訳を始めたのは何とも消極的なきっかけだったのですが、これがやってみると面白い! すぐにはまってしまいました。

坂田:何がどんなふうに面白かったですか?

藤原:原文のままでは理解不能な言語を、日本人に理解できるように日本語の文章で表現するところが一番面白いと思いました。見たこともないような単語を調べて意味がわかった時の快感。複雑な中国語を解きほぐしていって自分で納得できるような自然な日本語に訳出できた時の快感。翻訳する文章の背景を調査していって今までまったく知らなかったことを知る快感。病み付きになります! 実は小学生、中学生の頃の作文コンクールや読書感想文コンクールでは全国的な賞をいただいた経験があり、自分の文章にはかなり自信を持っていたのですが、翻訳のお仕事を始めてから改めて自分の日本語表現力のなさに気付かされました。もっと良い訳文を!! の一心で「分かりやすい文章の書き方」「伝わる文章の書き方」なんていう講座を今でも継続して受講中なんですよ。

坂田:会社勤めの頃も翻訳はなさっていたのですか?

藤原:はい。翻訳の業務は結構ありまして、品質管理マニュアル、社内規則、政府文書などを訳していました。でも仕事を翻訳に絞ったのは日本に帰国してからです。とにかく文章を書くことが好きだったので、翻訳なら好きなことを仕事にできると思ったのも一因です。それにフリーであれば良い仕事をすれば認めてもらえるし、ダメなら見捨てられるという厳しい環境に自分の身を置けるわけですよね。自分に逃げ場を作ってしまうとどうしても楽な方へ流れてしまう性格は多分いまだ変わっていないので、そういう環境に自分を置いて可能性にチャレンジしたかったというのもあります。

坂田:現在は実務翻訳が主ですか?

藤原:メインは実務翻訳です。他にも語学学校の中国語翻訳講座の講師や、年に3ヶ月ほどですが中国人研修生に日本語を教えに行ったりしています。

坂田:以前のお仕事に関係のある分野ですか?

藤原:翻訳の分野は以前のお仕事とはあまり関係なくて、主に医薬と法務を6:4くらいの割合で行っています。医薬は臨床試験や論文が主なのですが、姉が医学博士なので周辺知識や専門知識を得やすい環境にあるんです。実験論文の形式や論文の専門用語などはほとんど姉に教えてもらった知識です。法務の方は契約書や就労規則などの文書が多いです。他にも金融や工業機械マニュアル、スペック、また新聞コラムなどの翻訳をすることもあります。でも一番好きなのはやはり医薬関連の案件ですね。
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