【アメリア】Flavor of the Month 56 野津智子さん
読み物
Flavor of the Month
<第56回>  全4ページ


好奇心の赴くままにフットワークは軽く!

坂田:書籍1冊の翻訳となると、長丁場ですよね。毎日、どのようなスケジュールで翻訳をしていますか?

野津:おおむね順調に進んでいるときは、遅くとも朝9時には作業を始めて、1時間のランチタイムをはさみ、晩ご飯まで仕事をします。ただ、追い込まれているときは、このかぎりではありません。24時間、臨戦態勢になります。夜明け前から起き出して机に向かうことも珍しくありません。

坂田:では、本を1冊訳すときのスケジュールというのは、どのような感じですか?

野津:私の場合、全体のページ数を日数で割って1日分のノルマを決めます。もっとも、最初はどうしてもゆっくりしか進めないので、1カ月くらいはしょっちゅう調整し直します。半分を過ぎると、ペースがぐっと上がりますね。ハプニングに備え、少し余裕をもって訳了できるようスケジュールを組むことを心がけていますが、ほんとうにギリギリ!だったこともあります(笑)。

坂田:翻訳のお仕事は、しばらくは塾の講師と並行してなさっていたのでしょうか?

野津:講師の仕事は今も少ししています。

坂田:そうですか。翻訳者の方で、講師の仕事を並行して行っている方は多いようですね。 自宅にこもってする翻訳の仕事と、人と話をする仕事と、バランスがいいからとおっしゃる方もいらっしゃいますが、野津さんの場合はいかがですか?

野津:バランスがいいというのは、そうかもしれません。いわば気分転換ですね。生徒は中学生なのですが、いつも元気を分けてもらっています。

坂田:では、翻訳者として日頃から心がけていることなどありますか?

野津:そうですね。アンテナをふだんから張り巡らせておくようにしています。仕事に関係があろうとなかろうと、何にでも関心を持ち、ちょっとでも自分のアンテナに引っかかったら、調べたり、時間の許すかぎり出かけたりします。本や雑誌、ニュースはもとより、舞台や美術展などもできるだけ観に行くようにしています。フットワークは軽く!ですね。

坂田:京都在住ということのデメリット・メリットは何ですか?

野津:ピンチはチャンスだと思うので、デメリットはあまり意識したことがないかも。電話やファックスはもとより、メールもインターネットも宅配便もありますし。強いていえば、年に数回上京するのに少し費用がかかる、ということくらいでしょうか。でもそれは投資ですから。メリットのほうは、名刺を渡したときに「えっ、京都なんですか!」と驚いていただけることでしょうか。「京都ですか、いいところですね!」という意味なのか、「またずいぶん遠いところにお住まいですね」の意味なのかはわかりませんが、インパクトは少しあるかもしれません。前者の意味だと、私としては思いたいところですが(笑)。

坂田:翻訳に行き詰まったときの、息抜きの方法は?

野津:息抜きができるくらいには余裕がある場合ですね(笑)。短時間でできることにかぎりますが、翻訳とはぜんぜん違うことをします。お料理やお菓子作りをしたり、ベランダの花の世話をしたり、友人と食事をしたり。華道と茶道を習っているので、時間の許すかぎりお稽古に行ったりもします。あるいは、まったく関係のない本を読むこともあります。ときとしてヒントが、場合によっては答えが得られるから、ふしぎです。あとは、年に1度、海外を一人旅します。のんびり散歩したり、美味しいものを食べたり、いろんな出会いに感動したり……。知らないところへ出かけて、心を解放します。

坂田:では最後に、今後の目標を教えていただけますか?

野津:原著を大切にしつつ、キラリと光る訳文づくりをしていきたいと思っています。ジャンル的には、今までの仕事を大切にしながら、ヤングアダルト向けのフィクションやスピリチュアル系の本も増やしていきたいです。訳したい原書を探して、紹介していけるようにもなりたいですね。

坂田:出版の分野で、今後ますますのご活躍を期待しています! どうもありがとうございました。

 
    京都在住の野津さんですが、お仕事をするうえで、そのことはネックにはなっていないご様子。やはり翻訳は場所を選ばずにできる仕事なんだなと、つくづく感じました。そして重要なのは、常にアンテナを張り巡らせて、好奇心を持ち続けること。いつでもフットワーク軽く飛び回って、いろんな情報をキャッチすることですね!
 
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