【アメリア】Flavor of the Month 73 武藤 陽生さん
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Flavor of the Month
<第73回>  全5ページ


仕事をしながら課題をこなす日々。「通学して、先生にダメだしされることで成長していったと思います」

岡田:確かな基礎の英語力はあったものの、5、6年でここまで来られたというのは、たいへんな集中力で勉強なさってご苦労もあったのでは?

武藤まだまだ自分は学習中の身だなとつくづく思います。でも僕が学習中にいちばんよかったと思うのは、翻訳学校に通ったこと。学校に通って、同じ原文で同じ箇所をみんなで勉強し、いろんな人のいろんな訳に出会う。自分より上手な訳をする人に会いますから、それまで「自分のこの訳はうまい」「才能があるかも」なんて過信していたことに気づき、次はもっと努力しようと思うんです。僕は今も田口先生にお世話になっていますが、毎回先生にダメだしをされる(笑)。でもダメだしをされないと成長しないんですよね。翻訳会社は忙しいから基本的にダメだしはしてくれない。翻訳学校というのは先生や周囲にダメだしをしてもらい、成長する場所なのかな、なんて思ったりします。

岡田なるほど。勉強はどのように進めましたか?

武藤最初、小説の翻訳に興味があって、フェローの出版翻訳コースに入りました。課題をこなしながら、英語の文法書や洋書を読んだり、海外のゲームを英語でプレイしたりしましたね。あとは先生の翻訳と原文を見比べたり。今年に入ってからは瞬発力を鍛えようと、英語のラジオを聞いたり、ランニング中にポッドキャストを聞いたりしています。

岡田:勉強中、苦しいこともありましたか?

武藤ありましたね。田口先生の以前通ったゼミがユニークなシステムで、当番制である同じ文を3人で訳し、いちばんいい訳を多数決で選ぶんです。当番がだいたい同じ顔ぶれだったんですが、自分で完璧に仕上げたつもりなのに、僕はいつもある人に負けてしまっていた。その人はすごく素直な翻訳をする人で、僕は悔しくて毎回「今度こそ!」と頑張るんですが、いつもその人が選ばれて(笑)。

岡田:それは悔しいですね。毎回はつらい。

武藤:あるとき自分が100%力を出し切った訳があったんです。もしこれが選ばれなかったら完璧に自信をなくして砕けてしまうという訳だった。だから授業に行くのが怖くて、提出したのに教室に入れなかったんです。結果的についに僕の訳が選ばれて、その場にいなかったことを後悔しましたが(笑)。その時から、ようやく自分の訳が少しずつ選ばれるようになっていきました。

岡田その時はどうして選ばれたと思いますか?

武藤:原文を反映した過不足のない、バランスのとれた訳だったんだと思います。

岡田なるほど。悔しさに向き合いながら成長されていったんですね。その後は?

武藤:最初は先生に名前さえも覚えてもらえなかった状態でしたが、徐々に選ばれるようになってようやく認めてもらえるようになりました。一昨年くらいにノンフィクションの下訳をやらせてもらい、それが評価されて、以来、編集者の方を紹介していただいたりしています。油断するとまた評価が下がるので、気をつけないと(笑)。

岡田ゲームの翻訳はどのように?

武藤:ゲームは子どもの頃からよくやっていたので、もともと興味はありました。5、6年前、ちょうど海外のゲームが日本でも大々的に翻訳されはじめたころで、アメリアでゲーム翻訳の求人を探して応募し、オンサイトで働いていろいろ覚えました。

岡田:学校に通いつつ働いたんですか?

武藤:はい。週に1回か2週に1回ほど通学しました。この仕事は最初は半年契約でしたが、その後4年ほど社内で働かせてもらいました。在宅でフリーになったのは昨年です。初めはアメリアの求人で登録会社を増やしたりもしましたね。アメリアはつねに何らかの求人が出ているので、翻訳者にとっては心強い存在だと思います。

岡田:ゲーム翻訳を目指す方におすすめの勉強法はありますか?

武藤:海外のゲームを英語でプレイすることです。今はダウンロードなど気軽に海外のゲームが入手できますから、ゲーム翻訳に興味のある方にはぜひおすすめします。

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