【アメリア】Flavor of the Month 80 小野 佳奈子さん
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Flavor of the Month
<第80回>  全5ページ


ココが違う、英文翻訳と仏文翻訳!

岡田 :フランス語と英語の翻訳では、状況もいろいろと違うことと思います。何かお気づきになられることはありますか?

小野 :英語の翻訳の現状をあまり知らないのでなんとも言えませんが、アメリアの記事を読む限り、いろいろと違うところはあります。そもそも、ITやパソコン関係という分野がほとんどないですから(笑)。ITを取り締まる法律、規制関係はありましたけど……。とりあえず、これまでの経験ではIT産業の企業からの翻訳依頼はないですね。

岡田 :たしかにITは英語がメインの世界ですね。英語とフランス語の間ならあるかもしれませんが……。

小野 :そうですね。最近はフランスの会社でも、特にグローバル企業では英語力が重視されつつあるようです。じつは今、少しずつ増えてきているのが英語からフランス語にする依頼です。マーケティングのアンケートなど、フランスのエンドユーザーの言語にあわせたものですね。日本の観光案内などもあります。

岡田 :小野さんは英語の理解度も高いのですか?

小野 :フランス語ほどではありませんが、努力しています(笑)。日本に住んでいてフランス語関係の仕事を探すときには、ほぼ必ず英語の能力を問われますから。行った先の会社で、みなさん英語を使っていることも多いので、ちゃんとついていかないと、と思います。

岡田 :翻訳はジャンルを問わずこなされるとのことでしたが、その中でもお得意分野はありますか?

小野 :得意分野というと、大学・大学院と勉強した文学ですが、残念ながらまだ出版翻訳の経験はないんです。そのうちチャンスがあればと思っています。文学をやっていた関係で、歴史などの人文系は得意ですが、あえて得意、専門、というのは考えないようにしているんです。これまで翻訳してきた分野の原子力や法律、規制関係のお仕事、マーケティングの仕事など、案件一つひとつに向き合って翻訳しています。「これは得意分野」と甘い気持ちで取りかかりたくないのもありますね。

岡田 :なるほど。映像の翻訳もなさっているとか。

小野 :はい。映像の案件はテレビ局や制作会社からの依頼が多いですね。ドキュメンタリーやインタビューなどです。以前、映像翻訳の講座に通ったこともありました。

岡田 :通訳もされるということですから、まさにマルチですね。

小野 :実際マルチにこなせているかどうかはわかりませんけど……(笑)。フランス語の場合、「この分野しかやりません」ではいろいろな意味で不十分になると思います。分野をしぼるなら、コンスタントにその分野のクライアントがいないと難しい。いわゆる第2外国語の世界では、ジャンルを問わずこなされる方はけっこういらっしゃると思います。ジャンルだけでなく、レベルも同様ですね。

岡田 :レベルというと、内容の難易度ですか?

小野 :はい。英語と異なるのは、ごく簡単なレターや文書でも、お仕事として依頼されることです。英語で言えば中学生レベル、ですね。はじめてお仕事をした頃は、そういったごく簡単なレター文の翻訳もありました。きっと英語ならありえないレベル(笑)。第二外国語はまったくコミュニケーションがつかないという点で、「いてもらうと助かる」という場面が多いんだと思います。そこが英語の翻訳、通訳と異なる点かもしれませんね。簡単なレターや挨拶から高度な産業まで、幅広くこなしていく力も必要だと思います。

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