【アメリア】Flavor of the Month 80 小野 佳奈子さん
読み物
Flavor of the Month
<第80回>  全5ページ


日本に帰国後のカルチャーショック。「人間は社会とともに年をとるんだと実感しました」

岡田 :8年間もフランスで暮らされて帰国すると、カルチャーショックを感じられることもあったのでは?

小野 :ありましたね。特に帰国後はなんとか早く日本になじまなくちゃ、という気持ちがありました。

岡田 :どういった点でカルチャーショックを?

小野 :帰国して、日本はとても年齢を気にする社会だと痛感しました。私は20代半ばから30代半ばにかけて留学していたんですが、20代半ばと30代半ばの人ではやることや行く店、あるべきと思われる姿が違う。その間、日本を留守にしていた私は浦島太郎状態(笑)。人間は社会とともに年をとるんだと実感しました。年齢によって社会からの期待値が大きく異なる社会だと思いましたね。

岡田 :フランスではいかがですか?

小野 :もちろん肉体的には若い方がいいというのはありますけど、日本人ほどあせっていない感じがあります。フランスは「大人の文化」で、大人にならないと楽しめないことが歴然とある社会。そういう意味ではあまり「キッズフレンドリー」な社会ではありませんね。日本に帰ってきて、ベビーカーを押すお母さんがどこにでもいることにも驚きました。フランスはどこにでも子どもを連れて出かけられる文化ではありませんから……。育児手当などシングルマザーには優しい国ですけど。

岡田 :フランス映画のイメージからか、フランスの子どもたちは早く大人になりたくてしょうがない、という感じがあります。

小野 :そう、フランスでは子どもは権利を制限された人間で、管理下におかれて好きなことができないというきらいがある。早く大人になりたいという気持ちが強いんです。日本は「カワイイ文化」で、頼りなく子どもっぽいところが受け入れられるところがありますよね。

岡田 :幼さとかわいさ、ですね。

小野 :でも日本の「カワイイ文化」は今のヨーロッパの若者は興味あるようです。ご承知のとおりヨーロッパは景気が悪くて、若者の失業率がひじょうに高く、全体にいきづまった感がある。外の社会に出たいという傾向が強いので、マンガや日本文化などに興味を持つ若者が多いようです。そうそう、あとカルチャーショックだったのは「オレオレ詐欺」!

岡田 :「オレオレ詐欺」、今でいう「振り込め詐欺」ですね。

小野 :フランス人は良くも悪くも主張が強い。日本でなら確実に無責任と思われるようなことをしながら「私だって人生楽しまなくちゃいけないのよ」って開き直るとか(笑)。ビックリするような発言を聞くことあります。もちろんフランスでも詐欺事件はありますが、子どもになりすましてお金をだまし取る「オレオレ詐欺」は成り立たないような気がします。日本は「断れない」文化が根深いんでしょうね。

岡田 :「なんとなく断れない」……ということ、あるかもしれませんね。

小野 :日本には「私はこんなにがんばって我慢して苦労しているんだから、あなたも我慢して」という暗黙のサインが成り立っているところもありますね。きっぱりとNOを言えない根強い文化があると思いました。

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