【アメリア】Flavor of the Month 83 山田 二三夫さん
読み物
Flavor of the Month
<第83回>  全5ページ


サウジアラビアでは多くの外国人を束ね、英語の書類を作成する毎日。
「英語は毎日話して話して話しまくって、聞いて聞いて聞きまくって、書いて書いて書きまくっていました」

岡田 :サウジアラビアに転勤のころは具体的にはどのようなお仕事を?

山田 :当時のプロジェクトは「フルターンキー契約」と言って、受注したら土地の引き渡しから区画整理、掘削を含める土木工事をして、鉄筋コンクリートの基礎と建家を作り、機器を入れて試運転をしてお客様に鍵を渡す、という契約が多くありました。サウジの契約もそのフルターンキー契約で、当然のことながらすべてのリスクや予期できない危険も理解した上で引き受け、引き渡しする契約でした。責任の大きいタフでヘビーな仕事でしたね。

岡田 :とても大きなプロジェクトですね。多くの人が関わったのでは?

山田 :発注者であるオーナーはもちろん、コンサルタント、それから現場には何百人も外国人ワーカーや世界のエンジニアたちが集まっていましたから、英語漬けの毎日でした。

岡田 :書類のお仕事もたくさんありますよね?

山田 :それはもう(笑)。オーナーが自己資金で賄うプロジェクトの場合、オーナーの影響力はとても大きい。オーナーが納得しなければプロジェクトの完了証明書がなかなかもらえないことがあるんです。だから毎日毎日、これをやったあれを終えたと報告し、サインをもらって布石を打っていく。あるいはレターを受け取ったというサインをもらう。いかに業務や契約を遂行したかという文書を残すことが大切なんです。業務をこなし、監督をして、コンサルタントと交渉して、認めさせて、オーナーのサインをもらって一日が終わる―そんな毎日でした。

岡田 :毎日毎日、書類が積み上がっていくんですね。もちろん全部英語で。

山田 :もちろん。英語は毎日話して話して話しまくって、聞いて聞いて聞きまくって、書いて書いて書きまくっていました。今思えば修羅場でしたね(笑)。

岡田 :修羅場とはいえ、いやが上にも実力は身に付きますね。英語で困ることもありましたか?

山田 :ありましたよ!(笑) 特にイギリス系のネイティブスピーカーの英語が聞き取れなくて。きれいな英語だけどものすごい早口で、何を言っているのかわからないことも。それに露骨な表現を避ける日本人は、会議の席などで海外の方のアグレッシブな意見に対抗できない。それに対抗するにはどうしてもネイティブでなければ難しいんです。そこで英国人2名を部下に雇い、手紙の原稿を推敲してもらったり、アドバイスを受ける日々を3年ほど過ごしてプロジェクトを完了させました。友人とふたりでイギリス人女性に英語のレッスンをしてもらったこともあります。当時の経験が今の英語力の原点になっていますね。

岡田 :生きた英語を現場で叩き込んでいった感じですね。追い込まれながら身につけたオンザジョブトレーニングの極みですね。

前へ トップへ 次へ