【アメリア】Flavor of the Month 92 亀井 玲子さん
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Flavor of the Month
<第92回>  全5ページ


仕事場は翻訳基地! モニターの2台使いで効率的なワークスペースを構築。「つらくても自分で決めて選んだ仕事なので、やりがいは毎日感じます」

岡田 :長い下積み時代をへて、フリーになってからは多忙な毎日を送る亀井さん。複数の翻訳を同時進行も珍しくないという充実した仕事の進め方についてお聞きしたいと思います。それだけのお仕事量をこなされるということは、もはや訳に煮詰まっている時間もなさそうですが……。

亀井 :いえいえ、しょっちゅう煮詰まります(笑)。一度煮詰まると、その壁を越えてからでないと次の仕事にうつる気がしないんです。途中でやめてしまうと、次に取りかかるときにまたそこからはじめなければいけないのがイヤで……。

岡田 :なるほど、徹底してグツグツと煮詰めて山を越えないと、その日のお仕事は終わらない。

亀井 :はい。でも一度デスクを離れると、フッといい訳が浮かぶんです。家事や料理、シャワー、トイレで本やマンガを読んでる時とか(笑)。トントントンとリズミカルに野菜を切りながらハッと思いついたり。きっと脳の違う部分を使うから、翻訳をする脳がリラックスするんでしょうね。ずっと同じことをしていても、いい発想はなかなか生まれません。

岡田 :お仕事は具体的にどのようなスタイルで進められるんですか?

亀井 :パソコン1台を24インチと19インチの横長モニター2台につないで仕事をしています。そこにスクリプトとワード画面、動画と辞書検索ソフト、ブラウザを2つ、メモ帳ソフトを広げています。動画を流しつつ、スクリプトを見つつ、調べつつ、しゃべりつつ、ひたすら書く(笑)。うちのパソコンの画面はテレビより大きいんですよ。テレビは21インチなので、たまに見ると「ちっちゃ!」って(笑)。

岡田 :わぁ、それはかなり充実したワーキングスペース! 吹き替えのときはやはりしゃべりながらやっているんですね。

亀井 :ずーっとしゃべっていますよ。叫ぶときは叫んでいる。「コラー、待て!」って(笑)。きっと隣の人はうるさいなぁって思っているかと。でも口にだして確かめないと、音や息が聞こえませんから……。大きなヘッドホンをつけて、頭が痛くなることもしばしばです。

岡田 :なるほど、そういう環境で何日も連続でお仕事を。

亀井 :仕事場はまさに「基地」ですね。私は一人遊びも好きなので、じつは何日も外に出なくてもだいじょうぶなんです。ひきこもり(笑)。

岡田 :たしかに翻訳基地ですね! ひょっとして3日くらい外出しなくてもまったくだいじょうぶですか?

亀井 :3日なんてぜーんぜん! ひきこもることは平気ですけど、同時進行で根をつめて何本もやっている時はさすがにだんだん頭がおかしくなってくることもあります。頭がフワフワして、幻聴が聞こえそうになる。そうはいってもシリーズで受けていると断れないので、「なんとかなる」って思っていた自分を恨みながら、ひたすらやるしかない。ひと眠りして、ウーウー言いながらまたパソコンの前まで這っていきます(笑)。運動したり気分転換したりしながら進めないと体を壊しますね。

岡田 :まさに自分との戦いですね。それでも翻訳と向き合う。

亀井 :楽しいんですよ。翻訳の全部が楽しい。つらくても自分で決めて選んだ仕事なので、やりがいは毎日感じます。新しい作品がきて新しい訳をして、ひとつひとつが新しい出会い―――それがホントに楽しいです。

岡田 :本当に好きだからこそ、ハードスケジュールも乗りきることができるんだと思います。

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