【アメリア】Flavor of the Month 96 今井 聡子さん
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Flavor of the Month
<第96回>  全5ページ
小道具制作から字幕翻訳、通訳までこなすクリエイター。「字幕翻訳をしながら着ぐるみを作ることもありました」

岡田 :翻訳や通訳のお仕事をされる以前は、長年さまざまな舞台の裏方をつとめてきた今井さん。そもそも舞台の道を選んだのはなぜですか?

今井 :子どもの頃から演劇を観るのが好きなこともありましたが、とにかくモノを作るのが大好きで、小道具を作る舞台の世界に憧れていました。舞台の世界は入り口が広くて、気軽に入りやすい世界なので、私もチャンスをつかむことができました。ただボトルネックのように先が狭いので、先に行ける人はごく限られてくるんですけどね。

岡田 :美術や制作などは特別に勉強をされたんですか?

今井 :いえ、舞台の現場に入ってから先輩の仕事を見ながら学んでいきました。「できない」と言ってしまえばそこで道が止まってしまうので、なんとか見よう見まねで進み、気がついたら10年たっていたという感じです。

岡田 :着ぐるみも作れるということで、本当にいろいろできるんですね。

今井 :作りますよ、着ぐるみ(笑)。欲しいと言われたデザインをなんとなく頭で立体裁断してイメージをわかせてから取りかかります。型紙もつくります。

岡田 :たとえば「おにぎりマン」だったら?

今井 :おにぎりマンだったら、おにぎりのサイズを書き出して、顔はここに出して、腕はここに出して……。腕は前後に動くか左右に動くかで変わるので担当に確認し、海苔の生地はあそこで買って縫って、中のウレタンはネットや浅草橋で買って……と。もちろん一人で試着もしますけど、必死ですから鏡を見てニヤニヤ楽しんでいられません(笑)。

岡田 :おもしろいですね!(笑)。

今井 :去年の10月ごろは、字幕翻訳をしながら着ぐるみを作ることもありました。「昼はここまで縫ってから、夜は翻訳しよっと」って(笑)。まったく違う脳を使うので、バランスがとれておもしろかったです。造型も翻訳も寝かせたほうが新しいアイデアや、問題点が見えるし、どちらもでき上がっていく感じはなんともいえずにいいですね(笑)。

岡田 :絶妙なバランスですね。先日の“Singin’ In The Rain”の通訳のお仕事はいかがでしたか?

今井 :以前よくいっしょに仕事をしていた先輩がこの舞台の技術監督をしていた関係で声をかけてくれました。海外の作品を日本で上演するには、接着剤から照明、建築構造や電源の確認、水まわり、果ては消防の許可証まで、とにかくいろいろと事前の準備が必要なんです。私は来日前のスタッフ間の連絡メールの翻訳や、来日後の大道具まわりの通訳をしました。今まで知らなかった照明の勉強もできていい刺激になりました。3週間の公演で疲れもでましたが、毎日満員御礼、スタンディングオベーションで、お客さんが喜んで帰る姿を見るのは気持ちよかったです。

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