【アメリア】対談の部屋1-1子育てパパは自然体
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対談の部屋
<第1回>   全5ページ

第1回 「ただいま子育て奮闘中!」

 第1回目の今回は、実務翻訳家の佐藤先生と映像翻訳家の安瀬先生のふたりの先生方と、安瀬先生の生徒さんで、最近は短い仕事を受けるようになってきたという塩冶さんの3人に、育児と翻訳の仕事を両立させるコツについてうかがいました。
「小さな子供がいるから翻訳はムリ?」と悩んでいる方、これから結婚して子供をもとうというパパ・ママ予備軍、必読です! きっと育児も翻訳も、今よりもっと楽しくなりますよ。
Profile






写真左より…
安瀬高志先生
 4歳半の女の子が一人。
佐藤洋一先生
 3歳になったばかりの男の子が一人。
塩冶智子さん
 5歳の女の子と2歳の男の子の二人。

1.子育てパパは自然体

−−まず、みなさんの一日のスケジュールを教えてください。

佐藤:子供の保育園が朝8時に始まりますので、7時頃までに起きて、朝食の支度や、子供をトイレに行かせたり、細々したことを家内と分担してやります。8時に子供を送り届け、帰ってきて仕事です。ごくたまに、あまり忙しくないときは、昼頃から安瀬さんとテニスをやっていますよね(笑)。夕方5時頃まで仕事をして、子供を迎えに行きます。週3回はフェローの夜間通学クラスを受け持っていますので、それを終えて家に帰ると夜の10時。夕食をとってから、忙しいときは深夜1時頃まで仕事をします。

安瀬:僕は朝が弱いので、朝食の準備は家内がします。二人がご飯を食べている頃に起き出して、子供を送って行った家内が帰ってくると、僕が家内を職場に送っていきます。帰ってきて、仕事を始めるのは10時ぐらいから。夕方は5時過ぎに僕が子供を迎えに行って、そのまま家内も迎えに行き、三人で夕飯の買い物をして帰ります。夕飯は僕が作ることが多いですね。仕事が忙しいときは、夜、子供を寝かせてからまた仕事をします。

塩冶:子供をそれぞれ幼稚園と保育園に送った後、10時過ぎから迎えに行く4時頃までが、家事や、勉強や、仕事をいただいているときは翻訳の仕事をする時間です。あっという間の一日ですね。うちの主人はサラリーマンなのですが、わりと時間の融通がきくほうで、週に2回ぐらい在宅勤務があるんです。保育園の送り迎えをかわりばんこにやったり、私の仕事が入ったときは、そのスケジュールに在宅勤務を合わせて、子供の面倒を見てもらっています。

−−現在の生活スタイルはどのように決まったのですか?

佐藤:試行錯誤ですね。二人で分担しながら試しているうちに、お風呂は私が入れた方がいいとか、朝食は家内の方がよくて、夕食は私が作った方がいいとか、自然に決まりました。子供のほうでも癖があって、違う親がやると納得しないんですよ。私がたまたま留守で、家内がお風呂を入れたことがあったんですが、全然言うことを聞かない。パパ、パパって、ずっと言っていたそうです。

安瀬:おっぱいをあげる以外は、ほとんど夫婦どちらでもできますよね。翻訳をやっていて、家にいるわけですから、手があいていれば、ミルクを飲ませたり、オムツを替えたり。翻訳と子育てというのは両立しやすいのかもしれませんね。でも、困るのは子供が病気になったとき。うちは家内が働きに出ていて、僕が家にいるものだから、子供の面倒を見なければならなくなる。どういうわけか、病気になるのって、締め切りの前なんですよね。

塩冶:そうそう。この日は出かけるとか、そういう日に限って、やれ風邪をひいたの、結膜炎になっただの、そんなことばかりで。計画を立てたいけれども、なかなかその通りにいってくれない。それが子育てかな、とも思います。

安瀬:まあ、忙しくないときに熱を出されても、忘れてしまっているだけかも知れませんけど。子供はしょっちゅう熱を出していますから。

佐藤:そうですね。うちも、おととい熱を出したので、病院に連れて行ったんです。たまたま仕事がなかったからよかったのですが、仕事がある日だったら、すごく焦っていたでしょうね。私の場合は、もし仕事が厳しいと思ったら、すぐに外注を手配します。自分が病気になるというリスクもありますから、子供の急病も同じリスクを背負っていることだと思って割り切っています。

安瀬:映像関係の翻訳の場合は、受注から納品までの期間がすごく短いので、締め切り前に熱を出されたらどうしようもないですね。そんなことが何回か続いたことがあって、正直に「子供が熱を出して」と理由を言ったのですが、3回目ぐらいに「しょっちゅう子供が熱を出すと言ってもねぇ」と担当者に言われてしまって……。別に嘘をついている訳ではないんだけれど、それ以降は、「すみません。遅れるのでもう少し時間をいただけないでしょうか」とだけ言ってます。理由は聞かれれば話すけど、まあ、どっちみち遅れるわけだし。父親が子育てをしているということに対して、まだまだ理解がないですよね。

佐藤:私も同じような経験があります。「子供が熱を出したので」と理由を言ったのですが、3回目になると、自分でも嘘っぽく思えてきて。

安瀬:保育園に迎えに行っても、お父さんのお迎えって少ないですよね。自分では普通だと思っていても、外から見ると普通じゃないんだろうなと思います。

塩冶:うちは、散歩とか外で遊んでくれるのは夫のほうが多いんですが、結構、驚かれますね。「いつもパパが子供と遊んでくれていいわね」って言われたりして。

安瀬:公園に遊びに行くと、知らない男の子が寄ってきますよ。多分、お父さんと遊びたいんだろうなぁ。お父さんって、公園に行きづらい部分もあるんですよ。砂場を母子で占領されていたりすると、そこに入っていって、一緒になってお母さんとしゃべっているわけにもいきませんからね。

塩冶:うちの夫の場合は、やはり離れて座っていましたよ。子供同士は遊びたい。でも、お母さんのなかには当然入れない。ちょっとおかしな光景でした。

安瀬:公園はお母さんの世界ですよね。うちは100世帯ほどのマンションなんですが、日中、外に出ると、よく奥様方と会ってしまう。多分「あの人、何をしている人なんだろう」と不審がられていると思います。

佐藤:保育園の送り迎えをしていると、お母さん方に顔を覚えられるんですよね。こっちは覚えきれないのに。あと、子供にも覚えられる。近所を歩いていると、知らない人から挨拶されることがしょっちゅうです。悪いことはできませんね(笑)。

−−男性が育児をすることに関して、抵抗はなかったのですか?

安瀬:僕は、もともとありませんでしたね。会社勤めは嫌いだし、世の中の一般的な価値観とは違う方向を向いて生きてきたからかも知れませんけど。ただ、この社会のシステム自体が「育児は女性がするもの」という価値観を生んでいるのだと思います。例えば、結婚する、家を買う、ローンを組む、保険に入る……、そうしたときの書類上の手続きでは、必ず“世帯主”や“主たる何とか”という欄があって、夫婦というのは男性が主で女性がそれに付随するという形になってしまっています。手続きひとつとってみても、社会全体がそういう考え方だから……。

塩冶:そう。女性は扶養家族なんですよね。

安瀬:この社会にはすごく不備なところがある。それは、子供がいない頃には感じなかったことですね。

佐藤:両親が自営業だったり、特殊な技能を持っている人だと、その子供は世間の固定観念の影響をあまり受けないかも知れませんね。私の場合も、両親が自営業でした。
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