【アメリア】対談の部屋 8-3 映画がますます好きになる!〜 Movie Trivia 番外編 〜
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対談の部屋
<第8回>  全7ページ
第8回 映画がますます好きになる!〜Movie Trivia 番外編〜

いま明かされる、タイトル公募の秘密!

吉野:アルさんは、いつから映画にそんなに詳しくなったんですか?

アル:話せば長くなりますが、構いませんか?

吉野:ぜひ、教えてください!

アル:実はね、僕がトリビアに目覚めたのは、もう30年以上前なんですよ。僕が少年だった頃に『ウエストサイド物語』というのが封切られて話題になったんです。僕は少なくとも3回は観ていた。その頃、映画を観るのはもちろん劇場ですから、何度も観ている映画というのは少ないわけですよ。だから割と知っているつもりでいた。当時はまだ記憶力もいいですから、細かいところまで全部わかっているつもりでいて、ある時、映画好きばかりが集まった場で、話をしたわけです。その時、年上の人にこう言われたんです。「おまえ、じゃあ、あのバスケットシューズを見てたか? あれ、コンバースなんやけどな……」(注・大阪弁です!)。

 そこで、“コンバース”がもうわからないわけですよ。それはまあ、知らなかったんだからしょうがない。「あの、ラス・タンブリンが履いてたコンバース、ずーっと見てたか? あれな、最後にな、バーンと足上げたときと、その前とで、色が違ってるねん」というわけですよ。「えーっっっ!?」っていう感じですよね。そんなとこまで見ていなかったんだから。「でも、あのシーンはプロローグだから、別の日のシーンなんじゃないの?」って言ったら、「そうか、もういっぺん見てみ」とだけ言われて……。で、もう一度、劇場に観に行ったわけです。そしたらね、歩いていく時からジェット・ソングを歌うまでは白のコンバース。最後の最後に、壁にバーンと足をあげたら、そのコンバースが黒になっているんですよ。それを見たときにはビックリしましたね。

 それから、最後のほうで、マリアが死んだトニーを抱き起こす場面で、カットバック(2つ以上の違う画像を交互に繰り返し映す演出の手法)するところがあるんです。マリアが映った時に、クロスのペンダントが胸元から出ている映像と、服の中に入っている映像が出てくる。そういうのは、前後しているので、クロスがこぼれたのかなと思うじゃないですか。ところが、最後の最後、ほとんど口づけをせんとばかりに身体を傾けた時に、クロスが服に引っかかって落ちていないんですよ。それもこれも、全部先輩が横にいて、教えてくれたんです。「ああ、そこまで見ているんだ。僕はいい加減な見方をしてたんだなぁ」って、ちょっとショックを受けましたね。それから、細かいところまで見るようになりました。

 でもそれは、粗を見つけて楽しむというのとは違うんですよね。今とは違って、昔はビデオがありませんから、映画の中でそんな細かいところを注意して見ている人間は、普通はいないんですよ。だから、そんな細かいところよりも、ナタリーウッドの表情がいいほうをとって編集している。スクリプターもいるわけですから、ペンダントの違いにスタッフが気が付いてないはずがないんです。今でこそIMDB(映画情報サイト)があって、検索すれば、出演している俳優のリストが、脇役まで、全部簡単に手に入るんですよね。ところが、当時は、脇役の話なんて、誰も知らない。アメリカ映画でさえ、主要な人物から10人足らずのクレジットしか出ない。あとは全部、その他大勢。にもかかわらず、「あの映画のあの役だったあいつは、何だろうな」ってずーっと興味をもっていて、映画雑誌の細かな写真を見つけて、類推していって、ストローサー・マーティンだとか、そういう名前を覚えていた人たちなんですよ。そういう先達がいたから、僕もこうなったんですけどね。

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