【アメリア】対談の部屋 9-3 翻訳小説にタイトルをつけよう!
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対談の部屋
<第9回>  全6ページ
第9回 翻訳小説にタイトルをつけよう!

いま明かされる、タイトル公募の秘密!

- - 本にとってタイトルがいかに重要かということはよくわかりました。では、それだけ大事なタイトルを決めるのに、どうして今回は公募というかたちをとったのですか?

:理由は2つあります。1つはランダムハウス講談社が新しい出版社で、いろいろなことにトライしようとしているということ。ちょうど今回タイトルを募集した本はコンテストが題材になっているので、新しい試みのひとつとして、じゃあタイトルをコンテストで公募してみましょう、ということになったんです。もう1つの理由は、タイトルで売れる本があるんだから、タイトルに印税を払ってもいいじゃないかという考えを以前から持っていたので、コンテストにするにしても賞金を印税ということにすれば、さらにインパクトがあるかなと思いついたこと。はじめは思いつきで提案したのですが、会社として取り組むことになりました。

- - でも公募だと、どれくらいの数の応募があるかわかりませんし、いいタイトルが見つかるとも限りませんよね。


:それも想定して、私自身も10案くらい考えていました。タイトル公募のコンテストが成功した今だから言えますが、正直言って、そんなに素晴らしいタイトルが集まるとは思っていなかったんです。たとえ採用できるタイトルがなかったとしても、コンテストを告知することで翻訳書に興味のある何千人という人たちに「ランダムハウス講談社という新しい出版社が翻訳書を出す」という情報を伝えることができます。それだけでもいいという思いがありました。だから、使えそうなタイトルがなかった場合には、通常通り編集者がつけなければということで、最初からいくつか候補を用意していました。

- - それが、蓋を開けてみると、2200通以上の応募があったわけですね。レベルは予想と比べてどうでしたか?


:予想以上に、あぁ、なるほどと思わせるタイトルが多かったですね。ただ、これは私自身が反省しなければならないのですが、私が書いたあらすじに引っ張られてしまっているタイトルが多かったように思います。このストーリーは要約すると、主婦が仕事のために自分の知らない世界に足を踏み入れて、その結果、夫以外の男性にふらふらっとなるんだけど、昔を思い出して家庭に戻るというものです。そのあらすじを読んだ結果、『大切なものはあなた』とか『私の戻る場所』などというタイトルをつけた方がたくさんいらっしゃったようです。でも、これだとタイトルを見ただけで、「最後は主人のもとに戻るんだな」ってストーリーの結末がバレてしまうでしょう。そういうタイトルを連想させるようなあらすじを書いたからいけなかったのかなと反省しました。

平田:でも、私もあらすじだけを読んでタイトルを考えましたから、それはないと思いますよ。確かにあらすじを読むと、結局最後には主人公のサラは家族のもとに戻っていく、そこが一番の盛り上がりですよね。そこを読んでいて、今回応募した『あの日の私で恋がしたい』というタイトルがふっと浮かんできたんです。あらすじの中にも書いてありましたが、サラのような気持ちの揺れって誰でも経験があると思うんですよ。結婚している、していないにかかわらず。うちの母親だって、「昔の自分で恋がしたい!」って言っていましたから(全員笑)。三十歳を過ぎると誰でも感じたことのある気持ち、あらすじを読んでそれがちゃんと伝わってきたので、このタイトルが浮かんだんだと思います。

- - そういえば、このタイトルって、本から離れても、この言葉を聞いただけで惹かれるものがありますよね。女性だったら誰でも、多かれ少なかれ「あの日の私で恋がしたい」って思っている。この本を読んだら何かがわかるかもしれない、そんな気にさせてくれるタイトルですよね。

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