【アメリア】対談の部屋 10-4 世界同時出版に向け、超大作の翻訳に挑む!〜仙名紀&仙名ガールズ奮闘記〜
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対談の部屋
<第10回>  全6ページ
第10回 世界同時出版に向け、超大作の翻訳に挑む! 〜仙名紀&仙名ガールズ奮闘記〜

4.生原稿から伝わってくる、鮮度バツグンの情報を訳す醍醐味


--翻訳がスタートしてから約1か月後に、第2稿が届いたそうですね。


宮田:はい。ちょうど出版社(ランダムハウス講談社)での打ち合わせの日で、その席で改訂版の内容を知らされました。

仙名:僕の担当個所は最初と最後で、「はじめに」にあたる"Author's Note"を訳していたんだけど、第2稿を見るとそれがほとんど全面改訂なんですよ。だから、もう訳し終わっていたのに、全部やりなおし。それから"Author's Note"の次の"Prologue"も訳しはじめていたのに、それは第2稿から消えているし。

宮田:そうそう、先生がいちばん大変でした。

--そのほかの部分はどうだったんですか?

宮田:全面改訂というほどではなかったんですが、単語など、細かく直してあったので、最初からすべて突き合わせて確認しなければなりませんでした。それが、手書きの直しなので、読みにくいんですよ。パラグラフがひとつ消えている、というのは結構ありましたね。すごく面白い話がなくなっていたり、苦労して調べたところが消えていたり……。

倉田:ニュースソースが消されているところもありました。これは絶対にどこからか圧力があったんだろうなと思いました。

仙名:自主規制かもしれないけれど、プレッシャーがあったことも考えられますね。

西川:作者がチェックした痕跡らしきものがあって、面白かったです。

宮田:筆者とチェッカーの紙上でのやり取りがそのまま残っていて、手書きの質問に対して "Yes" や "No" って書き込んであるんですよ。

--ふだんは、本としてでき上がっている印刷物をもとに、翻訳なさるんですよね。

仙名:そうです。本としてでき上がっている場合はインデックスがあるので、前に何ページで出てきたかというのがすぐわかるのですが、今回は生原稿だったから、それができない。どこに書いてあったか、記憶をたどりながらページをすべて繰らなければならないのが大変でしたね。

加賀:実は、第3稿まで来たんですよ。これはそれほど直しが多くはなかったですし、もうみなさんの手は離れて、再校の段階でしたので、仙名先生にお送りして、部分的な直しは先生にすべてやっていただきました。

仙名:この本の性質上、記述は正確でなければならない、告訴されるのを防ぎたいということがあるんですよ。おそらく、たくさんの弁護士も読んで、そのあたりのところをチェックしているはずです。実名を載せたがために、あとからブッシュにいやがらせを受けるかもしれませんしね。そういう意味で、最後まで直しが入ったんだと思います。

宮田:それは、出だしの "Author's Note" を読むとよくわかります。「今回の取材はとても大変で、さんざん妨害も受けた。取材を受けるのをしぶる人も多かった」ということをケリーが語っているんです。それを、私たちは翻訳をしながら、原稿の端々で実感しました。
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